腰・骨盤・股関節の痛み・障害
以前当院で施術を受けた方から、ギックリ腰を起こしたとの連絡がありました。
(患者)
50代 男性
(主訴)
腰の痛みで前後屈が出来ず、また椅子からの立ち上がりなども辛い。
(既往歴)
特筆すべき既往なし
(現病歴)
高血圧症
(姿勢アライメント)
痛みに対する防御姿勢のため、胸椎および腰椎の生理的弯曲消失
(理学的徒手検査)
体幹前屈動作および後屈動作で腰部から仙骨部にかけて痛み。そのため可動域が減少。
股関節負荷試験陰性
腰椎負荷試験陽性
仙腸関節負荷試験陽性
神経学的所見なし
この方は、昨日の晩にソファーで横になってテレビを見ている時に腰の違和感を感じ、今朝起床した際に腰の激痛が発生しました。
思い当たる原因を伺うと、特に重い物を持ったり、捻ったりはしていないとの事。
この方のように直接的な原因がなくても、急性腰痛、いわゆるギックリ腰を生じる事は多いです。
遠位の組織(例えば頚の骨とか)の微細な牽引が、腰部の組織に常に生じていれば、体の向きを変えただけでもギックリ腰や腰痛になる可能性があります。
たとえ微細な牽引であったとしても、日常的にその部位にテンションが掛かり続けることで負荷が増して行き、結果小さな力でバランスが崩れ痛みとなってしまうのです。
では、この方の場合はどこにギックリ腰を起こした本当の原因があるのでしょうか?
それをオステオパシーによる全身評価で調べて行きます。
(オステオパシー的評価)
仙骨RonL病変
左腎臓制限
左大腰筋制限
仙骨のRonL病変とは、骨盤を形成する左右の腸骨の間のある仙骨の右上が後方へ持ち上がり仙骨の左下が前上方に変位したものです。
この状態は右の仙腸関節がロックされた状態であり、左の仙腸関節に過度な負担が生じます。
腎臓は大腰筋の上を滑るようにデザインされています。
歩くたびに大腰筋の上を腎臓は上下に滑ります。
そして大腰筋の中には腰神経叢が存在しています。
腎臓の被膜が硬くなり、大腰筋上の滑走性が悪くなると、その異常な刺激・信号は大腰筋および腰神経叢に伝わります。
つまり腰痛に直結してきます。
この方の仙骨病変は細かく診て行くと右足の指にあり、腎臓の制限は右足趾と心臓の卵円孔の回旋異常による腹膜の捻じれが根本にあるようです。
ただ、ここまで細かく施術するには時間がかかりすぎるので、痛みを直接的に生じさせている上記の病変に対してアプローチを行っていきます。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正)
上記病変に対し、オステオパシーによる施術。
制限の解消後、股関節と脊柱の連動性を向上させるための施術。
ギックリ腰を生じさせている直接的な問題を解決したあとは、もう動いても安全ですよと脳に認識させるため、股関節と背骨の連動性を向上させました。
痛みのため股関節と背骨の動きのバランスが崩れているので、それに対する是正を行うのです。
結果、痛みはかなり緩和され、前後屈動作や椅子からの立ち上がり動作でもスムーズに行うことが出来ました。
原因なく発症する痛みはありません。
必ずどこかに原因があります。
そしてその場所は思いもよらない所が圧倒的に多いのです。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長