Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

腰痛・股関節痛 (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

腰・骨盤・股関節の痛み・障害

腰痛・股関節痛 (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

 

腰痛と股関節痛に悩む30代女性が来院されました。

 

(患者)

30代 女性

 

(主訴)

腰部下部の痛みと右股関節の痛み

 

(既往歴)

32歳 卵巣嚢腫オペ

 

(現病歴)

花粉症

 

(姿勢アライメント)

骨盤前傾位

腰椎過前弯

 

(理学的徒手検査)

腰部前屈可動域制限

腰部後屈にて下部腰椎から腰仙部に疼痛

股関節負荷テスト陰性

仙腸関節負荷テスト陰性

腰椎負荷テスト陽性

右股関節内旋制限

右股関節深屈曲で疼痛あり

SLR等の神経学的なテストは陰性

 

この方は、1年ほど前から腰部の違和感を感じ始め、その後、日常生活動作で腰痛を感じ始めました。

腰痛が出現した頃から、階段の上り下りで右股関節の違和感と痛みも出てきたとの事でした。

股関節や骨盤の関節である仙腸関節には炎症等はなく、坐骨神経痛や大腿部の神経痛の所見もありません。

ただ、骨盤が前に傾き腰椎が過前弯、いわゆる反り腰タイプなので、腰の関節と股関節には過度な負担が掛かりやすい姿勢ではあります。

また、右股関節は外旋(外に回しやすい)傾向で、内旋(内に回しやすい)に抵抗感がありますので、臀部の筋肉や股関節後方の靱帯などに硬さがあるのだろうと推測されます。

恐らく一般的な整体や鍼灸・整骨・整形外科のリハビリでは、反って硬くなった腰の筋肉や関節、股関節内旋制限を作り出している臀部の筋肉や関節に対して施術していくでしょう。

ただし、この方法では根本的な解決にはなりません。

なぜなら、人の身体は筋肉や関節だけで出来ている訳ではないからです。

何かしらの力が作用して、骨盤を前に倒し、腰を反らせ、臀部の筋肉を硬くさせているのです。

その力を解放する事が根本であり、筋肉や関節に対する施術はその後なのです。

 

オステオパシーによる全身評価で、この人にどのような力が働いているか検査・考察して行きます。

 

(オステオパシー的評価)

右寛骨前方回旋

仙骨LonL病変

右卵巣及び子宮に制限(子宮広間膜の関与)

虫垂間膜制限

右腎臓制限

右大腰筋制限

頭蓋 蝶形後頭底結合制限

頭蓋 右側頭骨制限

 

オステオパシーで身体の検査をする時は、一般的な姿勢評価や関節の動きの評価はもちろんのこと、関節の滑りも診て行きます。

また内臓の膜の滑りや硬さ、頭蓋骨の動き、神経・血管の滑りや硬さなど、全身全てに対し様々な検査の方法があります。

それらを駆使し、その方の一番重要となる部位を検出していきます。

症状はその重要な部位から生じた結果なのです。

その重要な部位の固着などにより、全身を繋げている膜のネットワークを介して障害部位に異常な緊張を生じさせ、症状が発生します。

ケガの急性期でない限り、症状の部位に本当の原因はありません。

 

この方の腰痛・股関節を以上の結果より考察すると、直接の原因は卵巣嚢腫のオペにありそうです。

ざっくり説明すると、卵巣嚢腫を摘出すれば必ず周囲の組織の癒着や線維化を生じます。

その腹部の中の膜の過緊張は大腿骨頭靱帯を介して股関節に伝わるでしょう。

また子宮の膜は臀部の筋肉である梨状筋の筋膜とも繋がっています。

これらが股関節の内旋制限を生じさせ、また臀部の筋肉が過緊張を起こすことにより、大腿骨頭を前方に押し出します。

これにより関節の適合性が失われるので、階段の昇降で股関節を大きく動かすと痛みが生じるのでしょう。

また、お腹の中の癒着が右の骨盤の関節にロックを掛けています。

それが右の寛骨前方回旋病変と仙骨のLonL病変です。

そして、この骨盤の病変と股関節の制限により、腰椎のバランスは崩れ、大腰筋の緊張が反り腰に拍車を掛けています。

恐らくは、それらが腰痛を生じさせているのでしょう。

 

これらを加味して、オステオパシーによる整体・矯正を行っていきます。

 

(施術 オステオパシーによる整体・矯正)

始めに頭蓋骨の矯正から行いました。ここに1番の膜の制限を感じたからです。

なぜ頭蓋骨に1番の制限を感じたのか?

手の感覚と言ってしまえばそれまでですが、オペ後の癒着やそれに続く骨盤の問題に対して施術を行うより先に、頭蓋を解放した方がその後スムーズに施術が行える気がしたのです。

この方が問診時には言わなかった、または忘れ去られた、過去の病気やケガ、感情の大きな問題など、何かしらが頭蓋骨に制限を掛けている感じです。

その制限ゆえに、治癒する力が弱くなっているように感じたのです。

深い解剖学や生理学の知識はオステオパシーにとっては非常に重要ですが、このような直感も大切になる場合があります。

 

オステオパシーによる矯正及び整体を施した後、股関節痛はほぼ消失。

腰痛は残るものの緩和。

体幹のトレーニング方法を伝え、2週間後に予約を入れて頂き、今回は終了しました。

 

この方は症状のあった期間が長期なのと、術後の癒着が原因(癒着は消えない)なので多少時間は掛かると思いますが、大丈夫でしょう。

 

 

中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長