Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

骨盤の(ゆがみ)について②。みなさんは骨盤がどのように(ゆがむ)のか、ご存知ですか?

腰・骨盤・股関節の痛み・障害

・骨盤の(ゆがみ)について。

まずは骨盤を構成している骨から説明していきます。
骨盤は左右の腸骨・左右の恥骨・左右の坐骨・1つの仙骨から構成されています。
腸骨・恥骨・坐骨はそれぞれ別の骨ですが、3つが癒合し一つの大きな骨のように見えるため、
寛骨という1つの骨として扱われる場合もあります。
股関節の受け皿となる寛骨臼と呼ばれる部位には、この3つの骨が合わさった縫合が見られます。

余談ですが、
股関節を緩めるテクニックにこの寛骨臼の縫合をリリースさせる方法があります。
骨同士の結合なのだから、緩ませられるはずはないと考える方が多いのですが、緩ませられるのです。
実際、私も股関節痛の方に使う場合があります。
何故、骨同士の結合が緩ませられるのか?
発生学とその後の組織分化に関係しているのですが、脱線しすぎるのでやめます。


・骨盤の関節

後方中央には仙骨、仙骨は左右の腸骨と関節(仙腸関節)を構成し、前方には左右の恥骨が合わさり恥骨結合を構成します。
つまり、骨盤は左右仙腸関節、中央の恥骨結合という3つの関節を持つことになります。
仙腸関節は仙骨の腸骨対する関節ですが、腸骨の仙骨に対する関節と言う時に、腸仙関節という場合があります。
これは、仙骨の腸骨に対する動きには仙腸関節という用語を使い、腸骨の仙骨に対する動きには腸仙関節という用語を使います。
仙腸関節も腸仙関節も関節の場所は同じです。
骨盤には3つの関節があり、可動性があるため骨盤の(ゆがみ)につながるという訳です。

では骨盤の(ゆがみ)を引き起こす、それぞれの関節の機能障害をみていきましょう。


・恥骨の機能障害

左右の恥骨を比べて評価します。
1左右どちらかの恥骨が上方に変位する上方恥骨
2左右どちらかの恥骨が下方に変位する下方恥骨
3左右どちらかの恥骨が前方に変位する前方恥骨
4左右どちらかの恥骨が後方に変位する後方恥骨

恥骨の変位だけでも最低4パターンあります。
恥骨のゆがみは、それだけで腰痛に直結する事がありますし、
産前・産後の恥骨痛や腰痛にも強い関係があります。


・仙腸関節の機能障害

仙腸関節の機能障害は仙骨の腸骨に対する位置と動きで評価します。
1Left On Left 仙骨捻転
2Left On Right 仙骨捻転
3Right On Right 仙骨捻転
4Right On Left 仙骨捻転
5左または右片側前方仙骨
6左または右片側後方仙骨
仙骨の運動軸は6つ存在し、斜軸があるため複雑になります。
斜軸はフレッド・ミッチェルという医師が提唱した、仙骨の動きを説明するための仮想軸でありますが、腰筋と梨状筋の作用により軸として機能している事が解って来ました。
仙骨の機能障害は以前のブログでも書かせて頂いたように、
腰痛の根本原因にもなります。


・腸仙関節の機能障害 腸骨の仙骨に対する位置で評価します。
1左または右上方剪断
2左または右下方剪断
3左または右後方回旋
4左または右前方回旋
5左または右アウトフレア
6左または右インフレア
腸骨の動きもとても複雑です。
また、腸骨の機能障害は下肢にも大きな影響を与えます。

仙腸関節・腸仙関節は仙骨面の関節軟骨が硝子軟骨、
腸骨面の関節軟骨が繊維軟骨で出来ており、
違う軟骨同士が1つの関節が構成している、とてもユニークな関節です。そのユニークさゆえ、機能障害が生じやすいのかもしれません。

その他、仙骨正中軸での変位や圧縮などもありますが、
骨盤の(ゆがみ)はこのように、恥骨・仙骨・腸骨の関節の動きと
位置のずれにより生じます。

そして骨盤矯正を行うのであれば、施術者はその動きとずれを評価し、
評価に対して整体及び矯正を行わなければなりません。

一般的な骨盤矯正と言われるものの多くはこれらの評価を行わず、
足の長さを調べて、股関節のストレッチや仙腸関節のみにアプローチしているようですが、私には理解不能です。

なぜならば、皆さんの骨盤の(ゆがみ)は確かにそこに存在し、
その(ゆがみ)は、解剖学・生理学により研究され解明されているのだから。


東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長