Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

頚椎ヘルニア 肩・腕の痛み (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

坐骨神経痛・ヘルニア・狭窄症・胸郭出口症候群など

半年前に病院で頚椎ヘルニアと診断され、右肩・背中・腕の痛みを訴えている方がロアン鍼灸整骨院を受診されました。

 

(患者)

40代 女性

 

(主訴)

右肩・肩甲骨周囲・右腕の痛み

右母指・示指・中指が痺れている

腕の力が入りづらい

 

(既往歴)

20代 右半月板損傷

30代 子宮内膜症

 

(現病歴)

特になし

 

(姿勢アライメント)

胸椎の後弯減少

頚椎前弯減少(ストレートネック)

 

(理学的徒手検査)

ジャクソンテスト陽性

スパーリングテスト陽性

モレ―テスト陽性

右前腕及び手指筋力低下

 

この方は半年ほど前より、右の肩・背中・腕に痛みが出始め、腕の力が入りづらくなってきました。

病院では頚椎ヘルニアと診断され、神経の痛みを和らげる薬を処方され服用しています。

薬はあまり効かないとの事です。

半年前より症状が増悪している訳ではなく、あまり変わっていないとの事。

病院ではこのまま変化がなく、日常生活に支障を来すようならば手術も念頭においてくださいと伝えられました。

 

一般的に頚椎ヘルニアや腰椎ヘルニアは、骨と骨の間にある椎間板というクッションの中の髄核というゼリー状の物質が椎間板周囲の線維輪を突き破って外に飛び出し、神経を圧迫している状態を言います。

頚椎には腰椎と違って鈎状突起という構造物があり、椎間板を安定させるため、一般的には腰椎よりもヘルニアが少ないとされます。

ただし、ヘルニアになった場合、腰椎と違い神経に逃げ場が少ないので(腰部の神経は馬尾神経と言われ馬のしっぽのように分かれているため、直接圧迫されることが少ない)回復が遅く、筋力の低下度合いによっては手術になる場合があります。

ここまでは一般的なヘルニアのお話です。

 

オステオパシーでは、まずなぜヘルニアになったのかを考えます。

頚椎の髄核が飛び出ると言う事は、椎間板周囲の線維輪という組織が切れなくては飛び出ません。

ということは以前より線維輪が変性するくらいの繰り返しのストレスが頚椎に掛かっていたのではないか?

そのストレスはどこから生じている?

神経の症状は確かにあるがヘルニアによる圧迫以外の要因、症状を増悪させている因子は何かないか?

頚椎に掛かっているストレスと増悪因子を的確に処置できれば、症状の軽減と共に、本人が持っている治癒力が上手く働けるのではないか?

このような事を考えた上で、解剖学の知識をもとに触診で患者さんの組織を調べていきます。

オステオパシーの全ては、人間が本来持っている自己調整力や自然治癒力を回復させるために行われます。

自然治癒力というと、皆さんはちっぽけな力と思うかもしれません。

病気は薬や手術という強大な力で治してもらっているのだと思い込んでいる人もいます。

しかし実際には、薬や手術もその人が持っている自然治癒力をサポートする為のものです。

健康な人が癌などの病気にならないのは自己の細胞が癌などの病気の芽と戦い、発病する前に修復しているからです。

これは驚異的な力なのです。

ですので、自分の治癒力をもっと信じてみてください。

 

(オステオパシー的評価)

 

右第1~第5肋骨前方変位

右大腿骨遠位骨端線制限

右脛骨近位・遠位骨端線制限

心膜・心臓弁制限

視交叉右変位

 

体の中には様々な制限箇所があります。

その中で、この方の頚椎ヘルニアでは上記が問題になっていると触診と解剖学的知識により考えました。

前方肋骨の問題により肋間神経は前方へ張力がかかり、それは脊髄を伝わり頚髄へテンションを掛けます。また前方肋骨がある事で、上位胸椎の動きが制限され、代わりに下部頚椎がその動きのサポートをしなくてはなりません。

そこで頚椎に無理な力が加わり続けた結果、線維輪は変性をおこしはじめ、更なる力が首に加わった時、ついには線維輪が破れ髄核が飛び出し、結果ヘルニアになったと考えられます。

また前方肋骨を作り出しているのは心臓の問題のようです。心臓により肋骨が前に引かれているのです。

脳内にも問題があります。視交叉という視神経が交差する箇所が右に引っ張られています。

この状態では左の視索という組織が引かれます。

視索は間脳・中脳に掛かるため、神経の伝導路に影響を生じさせます。過剰に神経が反応してもおかしくはありません。

そして視床という、重要な感覚の中継点にも、右腕からリンクしている部分がありました。

そして骨端線。

骨端線とは成長軟骨のあった所で、成人になるとその部分は骨の密度が高い部分となります。右足の骨端線に強いテンションがあり、これが骨膜を捻じり、体の内部を締め上げています。まずここを緩めないと、施術が上手くいかないでしょう。

 

(施術 オステオパシーによる整体・矯正)

骨端線から始め、前方肋骨・心臓支持靱帯・心膜・心臓弁、視交叉および視床、最後に右指から頸部にかけて神経をリリースしていき初回終了。

 

術後は手に力が入りやすくなり、痛みが軽減。

このまま施術を継続すれば、手術しなくて大丈夫そうです。

 

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長