Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

腕の痺れ・痛み (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から) つづき

腕の痛み・痺れ

前回のブログで腕の痺れ・痛みで来院された方の理学的徒手検査とオステオパシー的な評価を書きました。

その検査・評価をもとに、この方にどのような事が起きて、症状を出現させているのかを考察します。

レントゲンの結果通り、C6,C7間の問題で、C7神経根の絞扼により腕の痺れ・痛みが生じているのには間違いないようです。
これは、症状の範囲、ジャクソンテスト、スパーリングテストから判断できます。

ではなぜC6、C7間に問題が生じたのか?

この患者さんは、その原因に対して施術をしていなかったため
症状が変わらなかった様です。
もし本当の原因が首にあれば、緩和したでしょう。 逆に、1番の原因が首にない場合、首の施術だけを受けていると、炎症を起こし悪化することもあります。

この患者さんの場合、脊髄の硬膜に強いテンションがありました。
硬膜は脳から脊髄を覆い、後頭骨の大孔と言われる脊髄が通る穴と、骨盤の仙骨(S2)に強く付着し、仙骨から更に外終糸(脊髄を覆う軟膜と硬膜が糸のように細くなったもの)により尾骨とつながっています。
過去に、しりもちをついた経験がないか聞いたところ、記憶にないとの事。
私は過去の外傷の経験を患者さんに聞くことが良くあります。
骨折や脱臼は皆さん良く覚えていますが、転んだ経験やしりもちをついた経験など、記憶は薄れて行くものです。
まして、子供のころのちょっとした怪我の記憶なら尚更です。

以前、首の痛みで来院された方で、同じように硬膜にテンションが掛っていたケースがありました。
その方は尾骨の変位もあり、尾骨の靭帯に強い圧痛がありました。
「尾骨打ったことありませんか?」の問いに、同じく「記憶にない」とおっしゃっていましたが、治療中に、「そういえば小学生のころ、椅子に座る時に友達に椅子を引かれて、おしりを打った事がある。あの時は痛かったなー」と思い出しました。

悪ふざけで引かれた椅子によって、何十年もたってから首の痛みが発症。子供のころのケガや、過去に行った手術が原因になっている事は結構多いのです。

小学校の頃、私がふざけて椅子を引いたあの子は大丈夫かな?

脱線しました。戻します。

硬膜に強いテンションが掛っていると、常に頚椎・胸椎・腰椎にも強いテンションが掛かります。
これは硬膜が背骨の脊柱管を通っているからです。頭蓋骨から脊柱、尾骨まで硬膜によって圧縮が掛るのです。

そして、心膜の制限。心膜からは頚椎につながる靭帯が存在しています。
その靭帯に引っ張られ、C6に異常な負荷がかかって制限を起こしている可能性があります。 C6を中心に頚椎に異常な負荷が掛り、神経が出てくる穴である椎間孔で問題が生じ、神経が圧迫をされているのでしょう。

その影響で頚椎に起始を持つ斜角筋に過度の緊張が生じ、その間を通る腕神経叢も圧迫。

さらに、胸椎の制限により肋骨を介して胸膜に異常なテンションが生じ、胸膜を吊っている堤靭帯をひっぱり、これにより堤靭帯を通過する鎖骨下動脈の制限につながり、上腕動脈のテンションとして触知できたものと考えられます。

この方の場合は、1番の原因である硬膜・心膜への施術で脊柱に対する負担を解放する事が必要でした。

実際の施術もオステオパシーによる整体で、初回は、硬膜・心膜のリリースのみ。

再診時に、胸膜と斜角筋、腕神経叢、動脈のリリース。

3回目で、頚椎の整体及び矯正。

今回で4回目の施術ですが、痺れ・痛みは改善されており、その他の制限部位のリリースと首、肩、背中の筋肉に対し筋リラクセーションを行いました。

症状を抑えるためのテクニックも重要ですが、整体及び矯正で最も大切な事は、その患者さんをしっかり検査・評価して、1番の原因を知る事だと考えています。

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長