Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

頚椎ヘルニア 胸郭出口症候群 腰痛 臀部痛(ロアン鍼灸整骨院の施術から)

坐骨神経痛・ヘルニア・狭窄症・胸郭出口症候群など

友人の接骨院からの紹介で来院された方です。
右腕の痺れがあり、病院での画像検査で頚椎ヘルニアと診断を受けた方がいるのだが、
ロアン鍼灸整骨院で診てもらえないか?との事でした。

(患者)
20代 女性

(主訴)
右上肢の痺れ、特に薬指・小指側に痺れが出る。
右頚肩の痛みと強いコリ感
腰痛及び臀部痛

(既往歴)
特になし

(現病歴)
なし

(姿勢アライメント)
骨盤前傾位
腰椎過伸展
胸椎後弯減少
下位頚椎過屈曲
上位頚椎過伸展

横からの姿勢をみると、骨盤が前に倒れ、腰の骨はそれに伴い前に反っています。
ここまでは腰痛が出やすい人などにありがちな姿勢ですが、
この方の場合、その上の胸の骨がほぼ真っ直ぐです。

通常、腰の骨(腰椎)が前に反れば、
身体は反射によりその上に乗る胸の骨(胸椎)を前に倒す事で、バランスを保とうとします。実はここ数年、この方の様にアライメントのパターンが変に崩れている人が、
非常に多くなって来ていると感じています。

この姿勢では胸椎及び頚椎の柔軟性が損なわれ、ヘルニアになるのも頷けます。

(理学的徒手検査)
ジャクソンテスト・スパーリングテスト 陽性
モーレーテスト 右陽性
拳上負荷テスト 右陽性
ファーレンテスト 陰性
前腕筋群のチネル 陰性
上肢筋力テスト 陰性
腰部後屈で腰仙関節に疼痛 
臀部に放散なし
SLRテスト 陰性
Kボンネットテスト 陰性
下肢筋力テスト 陰性

病院で画像検査を受けて頚椎ヘルニアとの診断を受けていますが、
徒手検査で再確認します。

腕の痺れがありますので、
念のためヘルニア以外で痺れを出す疾患に対する徒手検査も行います。

理学的徒手検査の結果、頚椎ヘルニアに胸郭出口症候群様の症状が併発しているようです。

胸郭出口症候群は、首にある斜角筋や胸の鎖骨下筋、
小胸筋などの過緊張で腕に行く神経と動脈を圧迫するために、痺れが生じます。

胸郭出口症候群様の症状としたのは、軽い神経の絞扼があるものの、
明確な血管の圧迫がみられないためです。

恐らく、胸椎と頚椎のアライメントの関係で、斜角筋が過緊張し、
神経を刺激しているのだと思われます。
そして、胸郭出口症候群がヘルニアに併発する事は珍しくありません。

腰部に関しては、神経学的な問題はなさそうです。

(オステオパシー的評価)
右1~9肋骨 前方肋骨
胸椎全域に渡り柔軟性低下
第4~6頚椎に可動制限
傾聴にて心臓・肝臓の膜にテンションあり

前方に肋骨が変位している場合、
交感神経の通り道である交感神経幹を刺激し、
血管の過収縮や内臓の機能低下の原因になります。
また前方肋骨はその周囲の神経を包んでいる硬膜を介して、
上部の組織に色々な制限を作ります。

胸椎の柔軟性の低下により、頚椎及び腰椎は胸椎の過少活動の代償を負うため、
過剰に動かなくてはならないでしょう。

頚椎に連続で可動制限がみられる場合、頚椎そのものの原因よりも、
例えば心臓の膜の繋がりで可動が低下している事が考えられます。
また、先ほどの前方肋骨による硬膜の過剰なテンションが原因になる場合もあります。

この方の頚椎ヘルニアの領域は指の痺れの部位により、
C8レベル(第7頚椎と第1胸椎の間からでる神経)という事がわかります。

胸椎の柔軟性低下と第4~6頚椎の可動性低下により、
その代償として第7頚椎が過剰に動き続けた結果、ヘルニアを発症したのでしょう。

臓器はその表面を壁側と臓側の膜に覆われています。
また、各臓器間には腔があり、そのような2重構造の膜と腔おかげで滑る事ができ、
体は柔軟に動くことが出来ます。
臓器の膜の制限が生じると臓器の滑りが制限され、
その結果、身体の動きの制限につながります。
また、心臓には、心臓と頚椎・胸椎、胸骨などを繋ぐ心臓支持靭帯が存在し、
肝臓には、肝臓と横隔膜を繋げる肝冠状間膜や左右三角間膜などが存在します。

これらの靭帯や間膜は臓器を覆う膜に繋がっており、
臓器の膜の制限はこれら靭帯や間膜の制限となり、
その付着部にテンションをかけ、背骨などに機能障害を引き起こす可能性があります。

ちなみのこの方は仕事が忙しく、ピルを服用しているため、
肝臓はガチガチに硬かったです。

(施術 オステオパシーによる整体・矯正)
上記制限箇所にオステオパシーマニュピレーションによる整体及び矯正。

整体および矯正後、手の痺れ感は若干あるものの、かなりの軽減がみられ、
腰部の後屈時の疼痛も緩和がみられました。

施術後3日間くらいは、整体及び矯正の刺激に対して脳が反応し、
身体を正常に戻すのに必要なホルモン等を放出するので、初回はここまで。

この2週間後の再診時には、仕事がかなり忙しかったものの、
頚肩・手の痺れ・腰痛・臀部痛、いずれも気にならず、夜もぐっすり眠れたとの事。

身体の繋がりをしっかりと評価し、本当の原因に整体・矯正を加える事が大切ですね。

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長