Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

四十肩・五十肩 (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

頭・首・肩・背中の痛み・障害

午前の最終に五十肩の患者さんがいらっしゃいました。
以前より五十肩で施術を受けている方です。

3か月前の初診の時点では、痛みのため腕の可動域が著しく低下しており、夜間痛も訴えていました。

皆さんは、四十肩・五十肩というと(ああ、手が上がらなくなるやつね)という認識をお持ちだと思います。
そこで、四十肩・五十肩の簡単な説明をします。

四十肩・五十肩というのは、いわばこの病態のニックネームです。
この病態が四十代、五十代に好発するため、そのように呼ばれています。

では、どのような病態なのでしょうか。

肩関節の周囲組織のうち、上腕二頭筋長頭腱、腱板、肩峰下滑液包、関節包などに加齢による変性がおこり、この変性し弱くなった部分が、何らかの外力(例えば転んでぶつけた、手をついたなど)や自家筋力の収縮による変性部位への刺激(ストレッチや物を取ろうとして手を伸ばしたなど、普段何でもない動作も含まれます)などにより、変性部位に障害が起きます。
その結果局所的な炎症が発生し、さらに炎症が周囲組織に波及して痛みによる運動障害、その後の炎症の消退とともに無痛性の肩関節拘縮に至るというのが、一般的な五十肩の病態です。

発生原因で多いのが、上腕二頭筋長頭腱と腱板からの炎症です。
上腕二頭筋は力こぶを出す筋肉で、肩甲骨の関節窩に付く長頭と、烏口突起に付く短頭があります。長頭は上腕骨の結節間溝とよばれる骨の溝を通過するため、収縮の際に骨の溝に押し付けられるのです。ですので、年齢と共に変性を起こしやすいのです。

腱板は棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という肩関節の固定と運動を行う重要な筋肉の腱が集まった部分で、上腕骨の大結節という所に付着しています。
特に棘上筋腱の腱板部は、腕を上げた際、肩峰という肩甲骨の骨の一部の下や烏口肩峰アーチと呼ばれる、烏口肩峰靭帯の下を通過するため、その部分でストレスを受けるため、変性しやすいのです。

ちなみにこの状態単独の場合、五十肩ではなく、上腕二頭筋長頭腱炎、腱板炎という疾患名になります。

これらの部位に炎症が起きると、その炎症が肩峰下滑液包や関節包という肩関節の筋肉以外の組織に波及していく事があります。
この状態になると夜間痛が出現することが多くなります。
これは、炎症による関節内圧の高まりとの関係があるようです。

これらの炎症が落ち着くと、組織は線維化し癒着を起こします。(炎症後のこのような変化は肩関節だけに限ったことではなく、全ての関節に言える事です)

肩関節周囲組織の線維化と癒着、筋肉や関節包の短縮などにより肩関節は拘縮し、手が上がらない状態になるのです。
この拘縮状態は自然緩解することが多いとされています。ただし、自然緩解までに要する期間は1~2年、更には拘縮を残したまま治癒が終了してしまう事も多くあります。

このように四十肩・五十肩は(疼痛期―拘縮期―緩解期)という経過をたどるのが一般的であり、自然に治るが、1~2年かかり、自然緩解では拘縮を残したまま治癒が終了する事も多くあるという事です。

説明が長くなってしまいました。

この患者さんですが、施術開始3か月の時点で挙上時、外転時に肩前方の痛みが多少ある程度までに回復しました。 この痛みは、インピンジメント障害に起因していると思われます。

3か月前から鍼灸と関節マニュピレーションを併用し、
施術を行いました。
その後は、順調に夜間痛がなくなり痛みが緩和されて行きました。

しかし、1ヶ月程前より痛みではなく関節自体の硬さにより運動が制限されて来たため、
拘縮期に入ってしまったと感じ、身体の診方を変える為に、
鍼灸とオステオパシーマニュピレーションによる整体及び矯正に変更した所、
拘縮期にほぼ入らずに今に至りました。

炎症期から施術してそのまま良好となるパターンは良くありますが、拘縮期に入ってから急激に拘縮が良くなるパターンは珍しかったため、ブログに書いちゃいました。

ちなみに初診時、すでにガッツリ拘縮した肩の施術は、緩解までに結構時間がかかる事が多いので、五十肩の人は早めに来院して下さいね。

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長