Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

自律神経失調症 (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

自律神経系・不定愁訴

本日の午後に、自律神経症状で悩んでいる新患さんがいらっしゃいました。
事前にメールでのお問い合わせと既往歴、現在の症状を送信して頂いておりました。

(既往歴)
虫垂切除
右足部骨折
膠原病
左右股関節全置換
脊柱管狭窄症術後
右母指CM関節術後

膠原病の治療による長期ステロイド投与により、骨が脆くなり左右股関節及びCM関節の手術をしたとの事。

(症状)
両母指MP関節痛
左頚肩部、
背部の痛み
不眠
不安
動機

夜寝ると症状が悪化する。様々な手術を受けており身体の不調から将来が不安。

(理学的徒手検査)
ジャクソンテスト、スパーリングテスト等の神経学的テストは陰性。
頚部後屈で左頚部に痛み
頚部前屈で頚肩背部に違和感
術後の各関節の可動域は良好
両母指MP関節に圧痛
左肩拳上制限

(オステオパシー的評価)
第4胸椎 前方胸椎
左右第4肋骨 前方肋骨
胸骨柔軟性低下
心臓支持靭帯制限
心膜制限
左堤靭帯制限
後頭環椎(C0-C1)制限
第5頚椎制限

手術が多く施術が困難に思えましたが、身体を評価してみると、術痕の筋膜の制限はプライマリーに感じるほどではありませんでした。
ちなみに、術部に大きな制限がある場合、手術により器質的に変化している場合も多く、整体及び矯正を行っても身体の変化が起きにくい場合もあります。

(施術  オステオパシーマニュピレーションによる整体・矯正)
オステオパシーマニピュレーションによる関節・膜のリリース。
経絡治療による鍼灸施術。

この方の場合、心臓を中心に胸部が中に引かれている印象を受けました。
まず、変位した左右の肋骨をリリースした後、
前方に変位した胸椎をリリースし制限を取り除きました。

その後に、胸骨の施術を行いました。
肋骨、胸骨の制限が強いと心臓に圧をかけリリースさせる事が困難になるため、
施術の順番も大切です。

心臓膜、支持靭帯をリリースさせた後に、左肩を再度挙げてもらいました。
途中で身体を再評価する事で、行った施術が上手くいっているか分かります。肩は痛みなくスムーズに上がる様になっており、「肩を触っていないのに不思議な経験をした」とおっしゃっていました。
解剖学と筋膜連鎖の観点からみると、不思議ではないのですけどね。

時々冗談のつもりで、患者さんに「良い気を入れたから治ったのですよ」と言うと、素直に「ありがとうございます!」と言われる事があります。そんな時は急いで「ウソです!」と伝えます。怪しげな療法と勘違いされるとイヤなので。

そして残りの頚椎の制限をマニピュレーションによりリリースを行いました。
C5は副神経の神経核が存在しており、
促通する事により僧帽筋や胸鎖乳突筋に影響を与えます。
この人の頚肩の症状の原因の1つになっているのでしょう。

後頭環椎の制限では副交感系の神経である迷走神経の障害が出る事があります。
上位の胸椎の前方を走る交感神経管は胸椎の変位で促通され、
頭部や顔面に影響を与える事があります。
これら脊柱の制限を解放する事は、自律神経を良好な状態に保つ事に繋がります。

整体・矯正終了後、経絡治療とよばれる鍼灸の方法で五臓のバランスをとりました。

経絡治療とは日本の伝統的な鍼灸施術で、
脈診・舌診・腹診などの東洋医学的診察により、肝・心・脾・肺・腎の精気の虚を調べ、
本治法と呼ばれる方法で虚した臓器にアプローチし、
標治法と呼ばれる方法で、症状に対するアプローチを行う鍼灸の施術体系です。

全ての症状や病気は特別な場合を除き、五臓の精気が乏しくなった事から生じるという考え方です。これは東洋医学の基本的な考え方になります。

私の行っている解剖学や生理学をベースにしたオステオパシーとは、
やや外れた施術法ですが、
東洋医学の哲学とオステオパシーの哲学は通じるものがあり、
東洋医学では精気云々とは言いますが、
結局は、鍼灸というものが体性―体性反射や体性―内臓反射を利用した施術法であり、
自律神経の調節に効果があるのと、
オステオパシーマニュピレーションによる整体・矯正と相性も良いので併用しています。

整体及び矯正後、この方は頭がはっきりし視界も広がり、
頚肩の症状もかなり軽減されました。

また2週間後に再診の予定です。

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長