Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

肩の痛み 指の痺れ  (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

腕の痛み・痺れ

右肩の痛みと指の痺れで悩む70代男性が来院されました。

 

(患者)

70代 男性

 

(主訴)

右肩から上腕部にかけての痛み

右手第1指から第3指にかけての痺れ

 

(既往歴)

50代 胆石にて手術

 

(現病歴)

高血圧症

 

(姿勢アライメント)

骨盤後傾位

腰椎前弯減少

第7胸椎を頂点にした若干の左凸側弯

 

(理学的徒手検査)

右上肢挙上及び外転で三角筋を中心に疼痛

肩関節可動域正常

ジャクソンテスト陰性

スパーリングテスト陰性

モーリーテスト陽性

上肢挙上負荷試験陰性

チネル検査陰性

 

 

この方は、1ヶ月ほど前より肩の痛みが出現し始め、1週間程前より指の痺れが出現し始めました。

整形外科を受診されましたが、特に異常なしということでシップを処方されたようです。

ただ、症状があるからにはどこかに異常はあるはずです。

そこでまず、一般的な理学的な徒手検査を行いました。

神経学手的なテストでは、あまり有意義な情報は得られませんでした。

唯一陽性だったのが、モーリーテストでした。

これは首にある斜角筋の付け根を圧することにより、腕神経叢を刺激して、症状を誘発するテストです。

この時に指の症状が若干増強しました。

これらの検査結果から導き出せたのは、肩を動かすと痛みが出ると言う事と、斜角筋を押すと痺れが酷くなると言う事だけです。

そこで少し考察してみます。

肩関節の関節可動域は正常で、肩周囲の筋肉の拘縮等もありません。

何らかの原因で肩の関節包が易刺激性になっており、肩の動作により痛み刺激として感じているようです。

肩の痛みがあると、緊張を緩めようとして反射的に首を患側に倒した姿勢になる事はよくある事です。

このため、斜角筋が過緊張を起こし腕に行く神経を圧迫し始めて指の痺れが出ているのかもしれません。

また、肩の関節包は腕神経叢、斜角筋は頚神経叢と腕神経叢の支配を受けるため、これら神経の何らかの異常により今回の症状が出ている可能性があります。

 

では、神経に影響を与えている何らかの原因とは何でしょう?

 

ここが不明のままだと、施術は行えません。

原因がわからないまま、取り敢えず施術している人が多いのは非常に残念です・・・。

 

では、神経に影響を与えている原因をオステオパシーによる全身評価で探って行きたいと思います。

 

(オステオパシー的評価)

肝臓制限

横隔膜制限

 

膜の制限を調べる傾聴という検査と努力呼吸による内部の動きの検査で、上記に大きな制限がある事が分かりました。

 

肩の痛みや指の痺れなのに肝臓と横隔膜?

 

普通はこのように思います。

肝臓は横隔膜に膜でくっついています。

そして横隔神経が肝臓の膜(肝冠状間膜・肝鎌状間膜・左右三角間膜)を支配しています。

この方は、胆のうの手術をされており、手術後の癒着は必ず生じています。

癒着により肝臓の膜にテンションが生じ続けた結果、その情報を拾い続けた横隔神経は、過敏になっていきます。

横隔神経は頚椎の3・4・5番の神経です。

首から出てくる頚神経叢と腕神経叢もこの神経と吻合しており、相互に関係しています。

横隔神経の情報は当然これらの神経にもその情報を伝えています。

すると頚神経叢・腕神経叢に支配されている斜角筋は過緊張を起こし、斜角筋の隙間から出てくる腕神経叢を刺激し、横隔神経からの過敏な情報もまた、腕神経叢自体を刺激し、その神経の枝である肩の周りの神経を過敏させます。

調べてみると頚神経後枝、腕神経叢及び腋窩神経・正中神経に過敏な反応点がありました。

 

肩と肝臓という一見関係性が無いように思える組織同士が、非常に密接に関係しているのです。

そして、このことは身体全ての部分に言えます。

 

このようにオステオパシーでは局所に生じている症状を解剖学と生理学を駆使しながら全体の中で考えて行きます。

 

(施術 オステオパシーによる整体・矯正)

肝臓の間膜リリース

末梢神経のリリース

 

施術後、肩の痛み指の痺れは消失。

ただ、胆のうの癒着痕が消えるわけではないので、肉体的・精神的ストレスの蓄積によって、またいつか何らかの症状が現れるかもしれません。

 

症状なく健康に生活するためには、自身の健康を自分で管理するスタンスが重要です。

定期的な運動や食事の内容など肉体に関する事から、瞑想などの心やエネルギーに関するものなど、まずはできる範囲で行うといいと思います。

 

自身の健康に興味をもち、実行し、それでも心身のバランスが崩れるようならば、オステオパシーは強力な手助けができるでしょう。

 

 

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長