Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

肩こり・頭痛 その1 (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

頭・首・肩・背中の痛み・障害

(患者)
20代 女性

(主訴)
日常的に肩こりがあり、酷くなると頭痛がしてくる
コロナ禍において在宅ワークとなり症状が悪化してきた
肩こりや頭痛は高校生の頃から感じており、頭痛に関しては痛み止めの薬を服用している

(既往歴)
高校生の時に左足首(前距腓靭帯)部分断裂

(現病歴) 特になし

最近は生活環境の変化から、小学生くらいから肩こりを感じる人も珍しくはないようです。成長期は骨の成長と共に、体を支えるための筋肉もそれに合わせ伸長し、
しっかりと成長する時期でもあります。
この大切な時期に活発に身体を動かすことなく過ごす事(長時間、座学やゲーム、スマートフォンなどのアプリに興じるなど)は、筋骨格の成長に悪影響を与える事は容易に想像できます。
また、これらの行動は常に長時間にわたり頭を固定しなければならず、
ややもすれば猫背姿勢になりがちです。

猫背姿勢は正常な重心線に対して頭が前方移動しており、
その状態で頭を固定したまま長時間過ごすことは、
首や肩の筋肉に異常なストレスを与え続け、
トレートネックの要因となり、頭痛や肩こりの原因となります。

また、成人してからもデスクワーク中心の方や、
スマートフォンを長時間利用する人(最近はスマホ首なんて言葉もありますね)には、
同様の状態が生じ易いので注意が必要です。

(姿勢アライメント)
骨盤前傾位
腰椎過前弯
胸椎後弯増強
頚部前弯減少
肩甲骨外転・下方回旋位

(理学的徒手検査)
頚部前屈で首・肩・背中にツッパリ感
頚部後屈で首の痛み
ジャクソンテスト・スパーリングテストなど神経根のテストは陰性
小後頭神経の出口に強い圧痛

(オステオパシー的評価)
傾聴にて心膜に制限
左4・5前方肋骨
第3胸椎変位
左第3肋骨頭関節・肋横突関節制限
後頭環椎関節制限
第2頚椎から第5頚椎まで左側屈・左回旋制限

この方は、姿勢アライメントが一般に言われる猫背姿勢でした。
二足歩行する我々人間の姿勢は重力に対し効率よく対応するため、
正常な重心線は耳―肩―大転子―膝―足首が一直線に並びます。
そして首の骨は前に反り、胸の骨は後ろに反り、腰の骨は前に反り、
その結果なだらかなS字曲線を描きます。

この方は骨盤が通常よりも前に倒れる(骨盤前傾位)により、
腰椎の前弯が過剰になり、
胸椎は腰椎とのバランスをとるため後弯が過剰になり、
頚椎は胸椎の影響を受け前弯が減少し、首の最上部を過度に伸展させ、
頭が前方に固定された状態でした。
前方に移動した重たい頭を首や肩の筋肉で固定しなければならず、
首・肩の筋肉は常に過緊張の状態となり、
慢性的な肩こりや頭痛の大きな原因となっていました。

この姿勢の変化は目線を水平に保つための代償の結果です。
筋骨格系のバランスが崩れると、
人間の身体は姿勢を変化させても目線は水平に保とうとする機能が働くという事です。
ただし、その結果、身体には無理な力が加わってしまいます。

また、肩甲骨の変位(外転・下方回旋位)は肩を内側に巻き込み、
猫背姿勢を増悪させ、肩こりや頭痛の悪化や肩関節の可動制限、
胸郭出口症候群などがある場合には腕の痺れの症状を悪化させる原因の1つになります。

理学的徒手検査では、肩や腕の痺れなどの症状は出現しませんでした。
ただ、首・肩・背中の筋過緊張と関節の圧迫による首の痛み、
頭痛の原因となる小後頭神経が過敏になっている事がわかりました。

その2へ続きます。

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長