頭・首・肩・背中の痛み・障害
その1からの続きです。
理学的徒手検査とオステオパシー的評価について。
理学的徒手検査は、その症状がなぜ起きているのかを調べるものですが、
基本的に肩の痛みなら肩、腰の痛みなら腰に原因があると考え、
症状の部位をターゲットにして検査を行います。
痺れなどの場合は、神経の走行に沿って絞扼している所を探す検査もありますが、
なぜその部分で神経が絞扼したかまでは分かりません。
例えば腰部のヘルニアで、徒手検査を行った結果、
第4腰椎と第5腰椎間のヘルニアのせいで腰痛と足の痺れが出ていると分かったとします。しかし、なぜその場所にヘルニアが出現したかまでは分かりません。
なぜ、その場所に組織の変化が起きたのかを調べる事も出来るのが、
オステオパシー的な評価です。
実は症状の場所に原因がある事は非常に少なく、
本当の原因は全く違うところにある事が多いのです。
例えば、過去に起こした捻挫による足関節の動きの悪さで、
慢性的な肩こり・頭痛が引き起こされていたなどということも普通にあります。
この場合、肩を良く揉んでも症状は変化しません。
本当の原因である足の関節の制限をオステオパシーによる整体・矯正を施した上で、
必要であれば肩に対する施術を行う事が大切です。
この方のオステオパシー的評価は以下の通りでした。
(オステオパシー的評価)
傾聴にて心膜に制限
左4・5前方肋骨
第3胸椎変位
左第3肋骨頭関節・肋横突関節制限
後頭環椎関節制限
第2頚椎から第5頚椎まで左側屈・左回旋制限
この評価の結果、この方の肩こりの本当の原因は心膜にありそうでした。
肋骨が前方に変位しているのは胸部の心臓に引っ張られた結果です。
前方の肋骨の変位は胸部に行く交感神経の過剰な刺激の原因にもなります。
第3胸椎や第3肋骨の関節部分の変位も心臓に行く交感神経を刺激するでしょう。
心膜は横隔神経の心膜枝の神経支配を受けています。
横隔神経は第3、第4、第5頚神経です。
首の痛みと左首の制限は横隔神経からの影響かも知れません。
後頭環椎関節の制限は後頭下筋群の過緊張が出現するため、
頭部の前方変位を助長するとともに、
自律神経系である迷走神経の頭蓋からの出口にある関節のため、
迷走神経の活動に悪影響を与えます。
そして迷走神経の活動低下は、心臓を含めた内臓の活動に悪影響を与えます。
このように、姿勢アライメント・理学的徒手検査・オステオパシー的評価を合わせて行う事で、その方の訴えている症状の原因がより深く理解できます。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正)
オステオパシー的評価での上記機能障害部位に対し整体・矯正を施し制限をリリース
僧帽筋・板状筋のストレッチ
肩甲帯周囲筋ストレッチ
腹直筋及び僧帽筋中下部線維筋力トレーニング指導
オステオパシーによる整体・矯正で心膜及び関節の制限を解放した後、
首・肩の筋肉のストレッチと姿勢アライメント是正の為の運動法を指導させて頂きました。
整体・矯正後は頭痛・肩こり共に良い感じとの事。
この方の場合、より姿勢アライメントを正常に戻すには、
足部と骨盤の問題をクリアしなければならない感じでしたので、
2週間後に再度来院して頂く事としました。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長