坐骨神経痛・ヘルニア・狭窄症・胸郭出口症候群など
腰の痛みと、左坐骨神経痛を訴える患者さんが来院されました。
(患者)
60代 女性
(主訴)
腰痛及び左坐骨神経痛
歩行時や座位姿勢で特に痛む
(既往歴)
30代 左脛骨骨折
40代 子宮筋腫
(現病歴)
特になし
(姿勢アライメント)
脊柱の生理的弯曲減少
(理学的徒手検査)
腰部前屈で背中から腰にかけての痛み
腰部後屈で腰仙部を中心に痛み
SLRテスト45度で陽性
SLRエンハンステスト陽性
下肢筋力テスト陰性
下肢知覚テスト陰性
股関節過重負荷試験陰性
脊柱過重負荷試験陽性
仙腸関節過重負荷試験陰性
この方は2か月ほど前にギックリ腰を起こし、1週間ほどで痛みが引いたらしいのですが、その後、腰の違和感が残り1ヶ月ほど前より腰痛が始まり、2週間程前より左坐骨神経上にうずくような痛みが発症しました。
理学的な徒手検査により、坐骨神経の滑走障害が腰部で生じている事がわかりました。
一般的には、この場合、痛みの範囲から腰椎4番・5番を中心に問題が生じていると考え、関連する筋肉に対してのアプローチと、軽い運動療法が行われるかもしれません。
ただ、その方法だと本当の原因を見逃しているので、治癒に難渋する場合が多いのです。
腰椎4番、5番には問題が生じているのでしょうが、ではなぜそれが起こったのか?
そこを解決しない限りは、筋肉を緩めても元の状態に引き戻されます。
そのような施術で痛みがたとえ落ち着いたとしても、それは身体が代償を行い、新たなバランスを取った結果であり、その根本が解決されない限り違う症状となって現れる可能性が高いのです。
症状を押しやった結果、今度は他の所に負担が掛かってくると言う事です。
では、この方の腰痛、坐骨神経の本当の原因は何なのか?
オステオパシーによる全身評価で調べて行きましょう。
(オステオパシー的評価)
腸間膜根の制限
S状結腸間膜制限
左卵巣に制限
子宮制限
左仙腸関節制限
左股関節制限
腰椎4番機能障害
この方の身体を調べると、腸間膜根という小腸の付け根を中心過剰なテンションが感じられました。
腸間膜根はトルド筋膜などを介して、多くの内臓と関連をもちます。
その制限により、神経や血管が通る腹部の膜にも過剰なテンションがかかります。
その状態では、老廃物を運ぶリンパや静脈の還流制限に繋がります。
結果、症状は悪化します。
そして膜の過剰なテンションは神経の刺激にも繋がっています。
腸間膜根は後腹膜に癒着しているため、直接腰椎を前方に引き寄せる力が働きます。
そのため、腰椎に運動制限を伴った機能障害を生じさせます。
この方の場合、腰椎4番のロックにより、その下の腰椎が過剰に動かなくてはならず、そのことにより、神経の出口に問題が生じ(多くは周囲の静脈のうっ血による)、うっ血部分が神経の滑走性を制限しているものと考えられます。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正及び鍼灸)
上記制限に対しオステオパシーによる整体及び矯正、最後に過剰に緊張している背腰部、臀部の筋膜に対しリリース鍼を行いました。
術後、体の前後屈で痛みは減少し、歩行時の痛みも減少。
身体は2~3日かけてもう少し変化してくるので、1週間後に予約を入れて頂き本日は終了です。
最後に、なぜ腸間膜根が硬くなるのでしょうか?
様々な原因がありますが、過剰な砂糖や乳製品、食品添加物の摂取により腸壁が硬くなります。
食品は身体を構成する大切な原料です。
身体に良いものを摂取する事は大切ですが、まずは(何を摂取すべきでないか)を知り、それを実行する事の方が重要です。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長