Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

腰痛 右の背中の痛み その1 (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

腰・骨盤・股関節の痛み・障害

(患者) 
60代 女性

(主訴)
腰痛および右背部痛

(既往歴)
15歳のころ左足関節靭帯(前距腓靭帯)損傷
30代子宮筋腫
50代胆嚢摘出

(現病歴)
糖尿病

(姿勢アライメント)
骨盤前傾位
腰椎過前弯
胸椎過後傾
肩甲骨外転下方回旋位
頚部ストレートネック

この方は体重過多であり、
腹部に引っ張られるように腰が反っており、
骨盤が前に倒れていました。

いわゆる(でっちり)姿勢で、背中は典型的な(猫背)姿勢でした。

この姿勢では、腰の椎間関節が常に圧迫されているので
腰痛が出やすいかもしれません。
また、猫背姿勢を呈しており、首や肩こりも強そうです。

猫背姿勢は肩こりになりやすいと一般的に認識されていますが、
実は呼吸・循環にも悪影響を出します。

胸郭が正常に膨らめなくなることにより、
肺での酸素の取り込みと胸部の圧迫による
静脈還流・リンパ排液が低下するからです。

頭部・胸部・腹部・骨盤部のそれぞれの内圧には正常値があり、
わずかな圧の変化でも体に大きな影響を生じさせる事があります。

(理学的徒手検査)
下肢症状なし
股関節、仙腸関節由来の疼痛なし
第4腰椎第5腰椎プッシュテストで疼痛あり
体幹後屈で下位腰椎に疼痛
体幹回旋で第10胸椎右に疼痛

これらは一般的な検査です。
どうすると痛みが生じるのか、
神経に障害はあるのかなどを調べます。
ある動作で痛みが出たとすれば、
その部分の構造物に問題がある可能性があります。

身体を後ろに倒すと痛いのは、
この方の場合、腰骨が反っていて既に後ろに倒れた状態に近く、
そこから体を後屈することにより、
腰の関節に負担が掛かり過ぎるためです。

また、腰痛では股関節由来、
骨盤の関節である仙腸関節由来、
腰椎由来のものが存在します。
ですので、どこから出ている腰痛なのかを調べる必要があります。

そして、足の痛みやしびれの訴えはありませんでしたが、
念のためヘルニアや神経の出口の検査も行います。

ただし、これらの検査は局所の検査ですので、
症状に対する本当の原因はわかりません。
オステオパシーによる整体・矯正を行うための補助的な検査です。

(オステオパシー的評価)
左乳様突起、左肩甲骨下角、左腸骨は上方へ変位
腹部傾聴で胆嚢のオペ痕
胸部傾聴で心臓
頭蓋SBS(蝶形後頭底結合)の圧縮
左右第1~8前方肋骨
尾骨・仙骨の圧縮
など

オステオパシーを行うにあったっては全身の評価・検査が不可欠です。
身体は繋がりをもって協調的に動いています。
そして協調して動いていない所が本当の原因になります。

ただし、人間の体には沢山の制限箇所があり、
協調運動から逸脱している所は多々あります。

なぜ沢山あるかというと、
その人の体の制限は、胎児の頃からすでに生じている可能性があるからです。

母体が強いストレスを受ければ、
ホルモンの変調によりその影響は体液を通じて胎児にも及びますし、
もし出生時に吸引分娩されれば頭部にはかなりの力が加わります。
その後、スポーツでケガをすることや、
感染症にかかるかもしれません。
学校や社会で大きなストレスを抱え込むこともあるでしょう。

これらは身体の中で組織を固くし、制限を生じさせる可能性があります。

上記の様な環境ストレス因子に対し、
十分な余力をもって身体の制限を代償できれば健康に過ごせますが、
その力が大き過ぎたり、余力がなくなって来ると制限を代償できなくなり、
結果的に症状・病気として出現します。

そして沢山ある体の中の制限から、
重要な制限を探し出す事も大切です。

つまり制限箇所の親玉(プライマリー)を探すのです。

それは体の中の膜を利用して、
制限箇所と制限箇所の繋がりや関係性を感じたり、
抑制という方法で絞って行きます。

それを行うには、解剖学と生理学の知識が重要となります。

実は私、学生の頃は解剖学が嫌いでした。
そんな私でしたが、オステオパシーを学んで行くにつれ
解剖学の重要性に気づかされました。

そして浅い解剖学の知識では太刀打ち出来ないと実感し、
今は5種類の解剖学書を使い分けています。

興味を持って勉強しているうちに、解剖学が好きになっていました。

続きます。

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長