その他の痛み・障害
交通事故などの強い衝撃により、首が前後または左右に激しく振られ、鞭を打つようにしなり発症する事により(むちうち)と呼ばれます。
症状は首の痛みや可動域制限、頭痛・めまい・耳鳴りなどの自律神経症状等、多岐に渡ります。
首がしなって首が痛いのだから原因は首にある。多くの人はそう思うでしょう。
実は、首の症状の原因は体の他の場所に存在します。
確かに、むちうちで首の整体及び矯正のみで症状が治まる方々もいらっしゃいます。
そのような人達はこれからお話する本当の原因が解決していなくても、体内のホメオスタシスメカニズムにより交通事故で受けた体の制限が代償され、首を含めた体全体のバランスが取れた状態になった人達です。
これらの人達は、実際は首の施術を受けても受けなくても、時間がたてば症状が治まったであろうと思われます。
このようなホメオスタシスメカニズムによる代償機能が働くのは、比較的軽度なむちうちで、過去に大きな怪我や手術をしておらず、体の柔軟性があり、体を包む膜(筋膜・胸膜・腹膜など)の制限が少ない人です。
ただ、このような方でも、本当の原因は解決されていないため、例えば転んだ時、スポーツを激しく行ったとき、はたまた強い精神的ストレスを受けた際などに、その代償は崩れ、体のバランスを失い症状が再発するかもしれません。
その時は、それが以前のむちうちの再発とは思いもよらないでしょう。
では、本当の原因はどこにあるのか。
後方、前方、側方からの衝突で働く衝突ベクトルはそれぞれ違うため、むちうちの本当の原因もそれぞれ異なります。
ここでは一般的に多く起こる、後方から衝突された際のむちうちの原因を説明して行きます。
後方から衝突されると、まず首が過伸展します。
それと同時に骨盤の仙骨が前に倒れます。その後、反動で首は過屈曲し、その際仙骨は後方へ倒れます。
この首と骨盤の仙骨の動きは衝撃による異常なものではなく、正常な生理学的な動きです。
ただし、車の椅子に座っている状態で、急激にこのように動かされると、骨盤の腸骨は椅子によって固定されているので、仙骨が前に倒れた状態、または後ろに倒れた状態で仙骨にロックがかかります。
仙骨にロックが掛るとどうなるか?
それを説明するためには、頭蓋と仙骨を直接つなぐ組織の知識が必要になります。
頭蓋と仙骨を直接つなぐ組織は3つあります。
1つは神経
これは脳から脊髄そして内終糸という形で仙骨のS2に付着します。
2つ目は硬膜
これは脳、脊髄を覆う膜です。これも仙骨のS2に付着します。
3つ目は前縦靭帯
脊柱の前方を補強する靭帯です。
この中で特に重要なのが硬膜です。
仙骨が前または後ろに倒れた状態でロックするため、仙骨に付着する硬膜に常に牽引の力が働き、常に脊柱を圧縮する力が働くのです。
つまり仙骨のロックで硬膜を介して首の骨を引っ張り続けるという事です。
今回はここまで。 その2に続きます。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長