自律神経系・不定愁訴
不眠や動悸があり、電車等に乗ると息苦しくなる、肩こりと頭痛が辛い、という方から電話があり、1週間後に来院されました。
(患者)
40代 女性
(主訴)
寝つきが悪く、中途覚醒もある。
肩こりがきつく、頭痛がする。
動悸があり、不安な感じに襲われる。
人ごみにいると息苦しくなり、特に電車等は怖い。
(既往歴)
10代、右足関節捻挫。
20代、椅子から落ち尾骨を強打。骨折はしなかった。
30代、十二指腸潰瘍
(現病歴)
現在の症状で内科を受診中。安定剤が出ている。
(姿勢アライメント)
頸椎から胸椎にかけての生理的弯曲減少。
骨盤前傾位、腰椎過前弯。
(理学的徒手検査)
手足の冷感あり。
体幹前後屈可動制限。
頚椎の動きによる上肢症状はないものの、可動域の制限がある。
この患者さんは、自身で起業されている女性です。
お話を聞くと、日々の精神的ストレスは非常に大きく、それが引き金となっている事は間違いありません。
そして、この症状が仕事に支障を来し始めるのを常に恐れているようです。
残念なことに、日本では社会及び個人が、この精神的ストレスを軽視する傾向にあるように感じます。
人の体の内部には、ホメオスタシスという身体のバランスを一定に保つ機能が備わっています。
簡単な例では、寒い時に体が震えさせ、体温を上昇させようとします。身体が一定に保たれているから、私たちは健康に生活できるのです。
ホメオスタシスは自律神経系に密接に関係します。
身体を緊張させる交感神経が過剰に反応してしまうとホメオスタシスも崩れます。
視床下部―下垂体―副腎系を介し、身体を緊張させるホルモンを過剰に分泌してしまうのです。
私たちは、筋骨格系・神経系・代謝エネルギー系・呼吸循環系・心理社会系のバランスが保てて、はじめて健康な状態と言えます。
これらのバランスを保つと言う事は、現在の社会において、非常に難しくなって来ています。
人間は受精してからの全てのトラウマ(肉体的外傷・精神的外傷)をため込んでいきます。
人間の脳は骨折によるトラウマも精神的ストレスによるトラウマも区別していません。
簡単に言えば、トラウマを貯める壺があり、怪我も精神的ストレスも区別する事なしにその壺にため込んで行いきます。
そして壺から溢れると症状として出現するのです。
つまり、症状を解決するためには、再度バランスを取り戻すことが不可欠です。
では、どうするか?
壺には肉体と精神両方のトラウマが溜まっています。
未解決の骨の歪みを取り除いたり、内臓系の膜の緊張を取り除いても、壺の中身の量は減ります。
瞑想や自然に赴き、生命の根源的なエネルギーを感じる事も壺の中身を減らすことに繋がるでしょう。
空気の汚染(PMなどの化学物質)や食品の添加物、電磁波の影響に常にさらされているという点も大きな問題です。
これらは人間の膜系に反応し膜が硬くなったり、捻じれたりします。そして、もちろん壺に溜まっていきます。
ただ、これらの対処は本当に難しく、対処しすぎると現代社会では生活できなくなります。そして変人扱いされてしまうかもしれません。
せめて、なるべくオーガニックなものを選ぶ、スマホ等は適度に使うなど実践し、壺に溜まる量を少なくする事が大切です。
本当は社会環境ストレス自体がなくなれば良いのですが、これは、現実的ではありません。
少しでも壺の中身を減らし、社会環境にも適応できるようになる事の方が現実的です。
そして、症状を取り除くのではなく、健康を取り戻すという考え方のシフトが重要です。
健康が取り戻されれば、症状は勝手に消えます。
症状は本質ではないからです。
続きます。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長