坐骨神経痛・ヘルニア・狭窄症・胸郭出口症候群など
病院で腰部のヘルニアと診断され、当院に来院されている方からの御紹介により腰痛と足の痺れに悩む方が来院されました。
(患者)
40代 女性
(主訴)
1年前から左腰腰痛 左臀部痛 左足の痺れ。
(既往歴)
20代 虫垂炎手術
30代 卵巣嚢腫手術
(現病歴)
花粉症
(姿勢アライメント)
腰椎前弯減少
膝軽度屈曲位
(理学的徒手検査)
腰部前後屈共に腰痛出現
SLR・エンハンステスト陽性
梨状筋テスト陰性
痺れの範囲はL5 S1領域が中心
筋力低下はなし
この方は1年ほど前より、左足の痺れと腰痛・臀部痛が出現し、病院で腰部椎間板ヘルニアと診断されました。
痛み止め処方され服用しているようですが、あまり効いていないとの事。
徒手検査の結果、たしかに神経には問題がありそうです。
腰部の椎間板ヘルニアは腰の骨と骨の間にある椎間板といわれるクッションの中にあるゼリー状の髄核が飛び出た状態を言います。
通常は椎間板の周りは線維輪と呼ばれる丈夫な線維で覆われていて髄核が飛び出ないようになっていますが、繰り返しのストレスなどで線維輪や軟骨板といわれる組織に傷がついて行くと、椎間板が炎症を起こし、線維輪が裂けて髄核が飛び出てしまいます。
これは、ヘルニアになった椎間板は頑張って動かなければいけない状況下にあったということを物語っています。
どうゆう事かと言いますと、腰の中で動けない関節が存在していて、その代償として頑張って動いている関節があると言う事です。
頑張って動きすぎた結果、繰り返しの過度なストレスが掛かり、ヘルニアになってしまったのです。
施術としてはヘルニアになった部分の施術よりも、その近くに存在する動いていない関節にアプローチをする事が大切になります。
そうすればヘルニアの部分に対するストレスが緩和され治癒が促されてきます。
以前はこのように考え施術を行っていましたが、今は更に考えなければならないことがあります。
それは体全体に右回旋の力が掛かっているという事実です。
これは環境の問題であり、全ての日本人に当てはまります。体の中に右足を中心とした強い右回旋の力が働いており、そのせいで左の足の神経も右足方向に引っ張られているのです。実際に左足に痛みなどの症状がある人が増えています。
その環境の原因は何か?不明としておきます。
(オステオパシー的評価)
右寛骨臼機能障害
子宮及び支持靱帯制限
虫垂炎術痕制限大
仙骨・尾骨制限
T12~L3制限
この方の身体をオステオパシーの全身評価で調べると、骨盤内蔵が右の股関節方向に引っ張られているのを強く感じます。
この股関節周辺の制限は右の足部に始まります。先ほどの環境の影響です。
そのため骨盤内臓、特に子宮とその支持靱帯も膜を介して右へ引っ張られています。
骨盤の中を足に行く神経や血管が通過するため、骨盤内臓が引っ張られて緊張すれば、足へ向かう神経や血管も緊張すると想像がつくと思います。それがヘルニアの痛みを増強させるのです。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正及び鍼灸)
この方には、身体のエネルギーバランスを向上させるために鍼灸施術を併用しました。
ロアン鍼灸整骨院で行う鍼灸施術は経絡治療といわれる伝統的な鍼灸術です。
この鍼灸の方法は、痛い所に鍼をして筋肉の反射により緊張をとるという一般的に行われている鍼ではなく、脈診・腹診などから身体の状態を判断し、身体を流れる気(エネルギー)と血・津液(水分)を調節して根本から身体を変化させる方法です。
オステオパシーと鍼灸の相性はとても良く、相乗効果が期待できます。因みにこの方は肺虚肝実証という身体の状態でした。
肺虚肝実とは、簡単に説明すると於血という血の滞りが身体の中で悪さしていると言う事です。
そして、鍼をしながら上記の制限に調整・矯正を加えました。
術後は、前後屈での腰痛は緩和し可動域の拡大がみられ、足の痺れはあるものの軽くなっているとの事でした。
しばらく通院が必要そうですが、改善の兆しが見えたため、とても喜んで下さいました。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長