Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

左腕の痺れ2 (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

坐骨神経痛・ヘルニア・狭窄症・胸郭出口症候群など

前回の続きです。

 

前回では腕の痺れに対し一般的な徒手検査を行い、

どのような事が原因で痺れが生じているかを調べて行きました。

さらに痺れの原因を追究するために

オステオパシーによる全身評価を行います。

 

(オステオパシー的評価)

傾聴により左胸膜の制限

仙骨および脊柱の圧縮

臍の術痕(腹腔鏡による胃癌手術の際の癒着)の制限

左頚肋術痕の制限

 

非常に強い制限が左頚肋術痕にありました。

その部を中心に左肺胸膜の制限が見受けられます。

術痕が左堤靭帯を介して

左胸膜頂にテンションを掛けているのでしょう。

肺を包む胸膜の上方は胸膜頂といい、

その上部は胸内筋膜であるシブソン筋膜で覆われ

堤靭帯にて頚椎および肋骨に付着しています。

つまり、肺を覆う胸膜の影響は

ダイレクトに首および肩の影響するのです。

また、臍の術痕が腹部の正中にある白線を介して胸郭に影響を与えています。

 

脊柱の圧縮は多くの人にみられます。

これは心臓の卵円孔が絡むことが多く、

首を含む脊柱の前後の動きが制限されます。

 

これらのことを踏まえると、

左腕の痺れが何故出現したかが見えてきます。

 

左頚肋の手術後の癒着が、

胸郭上口部の筋膜に異常なテンションを掛け続けた結果、

その周囲組織は過緊張を起こし、更に肺胸膜にも影響を出している。

その結果、腕に行く神経および血管の障害を起こし、

常時腕の痺れを生じさせているのでしょう。

また、脊柱の圧縮は姿勢を変化させ、

更に症状の悪化を招いていると考えられます。

 

(施術 オステオパシーによる整体・矯正)

オステオパシーによる全身評価での制限部位に矯正および整体を行う。

 

オステオパシーのテクニックは

筋膜を介し体の深い部分に作用させることが可能です。

通常では触れない部位、

この方の場合ですと胸膜や心臓の中の卵円孔という部分も

リリース(解放)できます。

 

実はこの方の場合、

初診検査時に(うわ!身体の制限が強すぎる!解放できるかな!?)

と心の中で感じていました。

頚肋と胃癌の術痕および、

胃癌の術式による腹膜の影響などで体の芯から固まっており、

さらには精神的にも固まっている、

そんな印象でした。

 

ただ、初回の施術で頚肋術痕のリリースした後、

胸郭上口に対し鎖骨を利用してリリースしている最中に、

胸鎖関節からゴクっと整復音がし、

関節がスムーズに動くのを確認できた際、

(これはいける!)と確信しました。

 

その後、施術をする毎に腕の痺れはなくなっていき、

4回目終了時には完全に消失しました。

その方から、

「実は一生この腕の痺れは治らないだろうと諦めていたのです。本当にうれしい!」

との言葉を頂きました。

私も本当にうれしく感じています。

そしてオステオパシーによる施術を行っていて良かったなと思う瞬間です。

 

現在は、胃癌術後の不調と自律神経の調節のため継続して来院されています。

これからも、この方がより自身の健康を探せるようにお手伝いさせて頂きます。

 

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長