その他の痛み・障害
中年以降、特に女性で膝の痛みを訴える方々が多くみられます。
今回は、膝の痛みの訴えで来院された患者さんです。
(患者)
60代 女性
(主訴)
右膝の痛み
膝の違和感は2~3年前より半年前より感じていたが、半年前より痛みが強くなった。
歩行時に膝が痛む
女性の場合、閉経を迎えるとホルモンバランスの崩れから、
骨粗鬆症になると言われています。
骨粗鬆症が変形性膝関節症の原因の1つに挙げられており、
これが女性に変形性膝関節症が多い理由です。
その他、男性に比べ筋肉量が少なく、膝に負担が掛りやすい事もあるでしょう。
これらは一般的に言われている変形性膝関節症の原因ですが、
オステオパシーでの身体評価で詳細に身体を調べる事により、
より直接的な原因が分かる場合が多々あります。
なぜなら、骨粗鬆症でも膝の痛みを訴えない人もいますし、
筋肉量が少なく肥満傾向にあっても膝の訴えは無い人は大勢いらっしゃいます。
(既往歴)
30代 十二指腸潰瘍
40代 右足関節捻挫
(現病歴)
高血圧
(姿勢アライメント)
膝O脚
右足部が回内し足底アーチが低下
骨盤後傾位
腰椎は平坦
膝がハの字に開いている状態(O脚)だと、
膝の内側の軟骨や内側半月板という膝のクッションに常に負担が掛ります。
また、足部回内し足底アーチが下がっている事により、偏平足になっています。
運動連鎖的には、足部は回外する事で膝は
O脚のような動きとなりますので(トーイン・ニーアウト)、
この方の場合は、運動連鎖が崩れている事も膝の大きな負担の原因になっているようです。
(理学的徒手検査)
膝軽度伸展制限あり(膝がしっかり伸び切らない)
膝グローバルテストで内側に抵抗あり
膝蓋跳動なし
熱感なし
膝内側裂隙部圧痛あり
以上の検査より、膝の内側にかなり負担が掛っている事が伺えます。
(オステオパシー的評価)
第2腰椎制限
右腸骨後方回旋
仙骨捻転病変
脛骨外旋
膝後上方関節包制限
臀部筋過緊張(梨状筋)
右距腿関節制限
右距下関節制限
右中間楔状骨制限
膝は体の上部及び下部のストレスが非常に強く掛る所です。
足部の捻じれは膝に影響しますし、腰や骨盤の捻じれも同様です。
膝の痛みでは、膝そのもの対する施術よりも、
むしろその上下の変位を改善させる事により、
膝に掛るストレスを減少させる事が痛みを緩和させるポイントになります。
この方は過去に足関節捻挫の既往がありますので、
その時生じた足部の変位が元に戻っていなかった事も、
膝の痛みの原因の1つになっているようです。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正)
オステオパシー的評価による制限箇所を整体及び矯正
その他、半膜様筋リリースおよび腓腹筋リリース
膝の伸展制限では半膜様筋という膝の後ろの筋肉が重要となります。
半膜様筋は膝内側側副靭帯の浅層と深層の間に挟まれており、
またその筋膜は膝裏に広がって行きます。
それは膝裏の後外側支持機構(PLS)と言われる
膝の安定性に関わる部位にも影響を与えています。
また、膝の内側側副靭帯は内側関節包と共に内側半月板に付着しています。
半膜様筋が内側側副靭帯間で滑走できないとこれらの構造物にも影響を与え、
膝が伸ばす事が出来なくなります。
さらに、腓腹筋は膝裏で外側頭と内側頭に分かれており、
この2つの頭と内外のハムスト筋(太腿の後ろの筋肉)はクロスしています。
クロスしている部位での筋膜の滑走性の制限も膝が伸びない原因になります。
ちなみに歩行において膝がしっかり伸ばせないと、
膝が不安定になり痛みや軟骨が減る原因にもなります。
整体・矯正後伸展制限は緩和され、歩行時の痛みの軽減がみられました。
また、膝 関節安定性の維持・向上の為のトレーニング方法を指導させて頂きました。
軽度の膝痛であれば初回で施術終了となる事もありますが、
膝の変形が伴うと少し時間が掛ります。
また、膝の安定性獲得のためにも、指導させて頂いた運動を必ず行って頂く事も重要になります。
いつまでもしっかりと自分の足で歩ける様に、
オステオパシーでの整体・矯正をお勧めします!
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長