腰・骨盤・股関節の痛み・障害
(患者)
30代 女性
(主訴)
腰痛(ぎっくり腰)
この女性はもともと慢性腰痛がある人で、2日前洗顔をしようと前かがみになった際、
急激に腰の痛みが出現したとの事。
腰痛の原因は様々で、腰を構成する多くの組織(筋肉、靭帯、関節、椎間板など)が痛みを発生する原因になります。
ただし、当院で行っているオステオパシーでは、
そこから更に本当の痛みの原因を調べて行きます。
どうゆうことかというと、腰の組織に負担がかかり痛みは腰にありますが、
では、腰に負担をかけている原因は何なのか?を調べるという事です。
多くの治療院では腰の筋肉にアプローチして行くと思います。
原因も腰の筋肉が硬いからぎっくり腰になったと説明するでしょう。
でも、筋肉が硬くなった本当の原因はなんでしょうか?
姿勢の問題?繰り返しの動きの筋肉へのストレス?
姿勢が悪くても腰痛が出ない人もいますし、
繰り返し同じストレス運動を行っても腰痛にならない人もいます。
この差はなぜでしょう?
ここを考えるのがオステオパシーなのです。
(既往歴)
10歳の頃左小指骨折
(現病歴)
慢性腰痛
花粉症
(理学的徒手検査)
体の前屈・後屈で共に腰に痛み。特に前にかがむのが辛い。
腰部前弯増強(反り腰)
腰部の筋肉は過緊張
腸腰筋・梨状筋に著明な圧痛
(オステオパシー的評価)
仙骨 捻転変位
第5腰椎 変位
硬膜全体に過剰なテンション有り
腸間膜根〈小腸の付け根〉にテンション
心膜のテンション
この人の姿勢は反り腰姿勢であり、そもそも腹筋や臀部の筋力の弱さが考えられます。
この状態は、腰の関節に常に圧迫の力が加わるので、慢性的な腰痛になりやすいでしょう。
腰部を中心にお尻にある梨状筋や腰から足の付け根つながる腸腰筋に
強い圧痛がみられました。
これは洗顔した際に前かがみになり、脳が腰の異常を察知した結果、反射的に姿勢を戻そうとして、筋肉が一瞬激しく収縮したことを表しています。
このようにして形成される圧痛点をテンダーポイントと言います。
腰の骨や骨盤周囲にはゆがみ(変位)が多くみられました。
ただ、これはぎっくり腰以前からあったようです。
内臓の問題としては、小腸の付け根である腸間膜根と心膜に
過剰なテンションを感じました。
腸間膜根はすぐ後ろに腰の骨がありますので、小腸の硬さが腸間膜根の硬さにつながり、
腰の骨に対して前方のテンションを生じさせます。
糖分や乳製品を過剰に取っている人は要注意です。
この方も甘いもの大好きとの事。
心臓の問題は非常に複雑です。
診るべきところは心臓弁と心膜、心臓支持靭帯などです。
また、心臓は心横隔膜靭帯で横隔膜とつながっています。
横隔膜は腰の骨に脚という形で付着します。
更に脚からの線維は仙骨、尾骨に達しています。
つまり心臓の問題も腰の症状に加担する事があるという事です。
そして硬膜の問題。
硬膜は脳を包み、脊髄を包み 最終的に終糸という形で尾骨に付着します。
脊髄は背骨の中を通るため、硬膜に強いテンションが掛ることにより、
背骨は全体的に圧縮されます。
当院で行われているオステオパシーでは、
このように検査から得られた身体からの情報に従い、
今出ている症状に対する原因を解剖学・生理学的に考えて行きます。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正)
腸腰筋・梨状筋のカウンターストレイン
尾骨のリリース
腰椎・仙骨に対するインダイレクトテクニック
腸間膜根に対するリリース
体動時の痛みは半分程残っていますが、今日の整体及び矯正はここまで。
徒手療法の刺激が脳へ伝達されると、脳からのフィードバックで体は変化して行きます。
刺激量が多くなると、脳の視床と言うところで、施術に対する刺激をブロックし、
体を良い方向へ変化させる働きが無くなるためです。
この方の場合は痛みが残っていても、
2~3日後にはぎっくり腰の痛みは無くなっているでしょう。
これは、正しい刺激を受けた体は2~3日かけてゆっくり変化していくためです。
まさに(過ぎたるは猶及ばざるが如し)ですね。
ただし、この方の慢性的な腰痛を改善させるのには少し時間が掛りそうです。
それは硬膜による背骨の圧縮と心臓の問題が大きいためです。
硬膜と心臓の話しは、またの機会に。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長