頭・首・肩・背中の痛み・障害
本日の夕方、肩の痛みで女性が来院されました。
バレーボールを熱心にやっている方で、プレー中は痛みを感じないが、プレー後に肩の前面を中心に症状が出るとの事。
(症状)
運動後の肩の前面部の痛み
ベッドサイドでは肩の拳上・外転など動作時痛はないが、最終の可動域で自覚的に肩が重い感じがする
首の運動などで症状の再現なし。
(触診)
熱感・腫脹なし
肩前面の圧痛はなし。
(理学的徒手検査 )
ペインフルアーク、棘上筋テスト、スピードテスト、ベリープレスなど肩関節周囲の筋肉に対するテストは全て陰性。
クランクテスト、オブライエンテストなどの関節唇のテストも陰性
肩峰と上腕骨の衝突を調べるインピンジメントテストも陰性
2nd外旋で制限 3rd内旋で制限
ここまで何も出てこない肩関節痛もめずらしいです。
運動後の痛みとおっしゃっていますので、炎症性の痛みではなさそうなため仕方がないでしょう。
ただ、2nd外旋と3rd内旋で制限がみられるのは確かです。 肩の関節の拘縮筋を調べるときに、上肢を1st~3rdという肢位にさせて、肩のどの筋肉や靭帯が短縮しているか調べます。
2nd外旋は肘を90°屈曲位で肩を90°まで外転させ、そこから肩を外旋させて行きます。
正常であれば90°外旋できますが、70°程度で制限がかかりました。
3rd内旋は肘を90°屈曲位で腕を前方に水平まで上げ、そこから肩関節を内旋させて行きます。
前腕が水平から更に5°位内旋できるのが正常ですが、-10°位で制限がかかりました。
2nd外旋では肩甲下筋という筋肉や前方関節包が短縮を起こしている事が多く、3rd内旋では小円筋・棘下筋という筋肉や後下方関節包、後下関節上腕靭帯の短縮で制限がかかります。
それらの筋や靭帯を触診してみると、若干の過緊張と圧痛がみられました。
おそらくそれらの筋・靭帯の短縮により、関節の中心軸がずれた状態で運動を続けたため、肩峰と上腕骨が衝突する肩峰下のインピンジメントを起こしていたと思われます。 これはOblique translation理論という、関節窩とそこに収まる骨頭の考え方からも言える事です。
ただ、程度が軽いので、インピンジメントテストは陰性となっているのでしょう。
これは、訴えが運動後の痛みのみ、という事からも言えると思います。
ただ、なぜこの筋に短縮が生じたのか?
そこにアプローチするのがオステオパシーであり、根本的な整体及び矯正です。
因みに、オステオパシーを学ぶ以前の私は、上記の筋肉や靭帯が根本原因と思っていました。
なぜ、その筋が短縮したのかまで考えたことがありませんでした。
その先の本当の原因を考える思考がなかったのです。
私の周りの同業者や医療関係者にも、そこまで考える人は勿論いませんし、日本の学校教育もそこまで考えません。
しかし、オステオパシーの祖、Dr.アンドリュー・テイラー・スティルはこう言っています。
オステオパスは症状を扱うのではなく、その原因に戻り矯正する事により、症状が消滅している事に気付くであろう。
残念な事に日本の徒手療法は、アメリカやヨーロッパから随分と遅れをとっているのが現実です。
続きは次回。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長