腰・骨盤・股関節の痛み・障害
慢性腰痛に悩む、30代女性が来院されました。
他の整体院や接骨院でマッサージや骨盤矯正など受けていましたが、症状があまり変化しないので来院されたとの事。
(患者)
30代 女性
(主訴)
腰が常に重だるく、長時間の座位などで、痛みが出現する。
(既往歴)
10代 右小趾骨折
(現病歴)
生理不順
月経前症候群(PMS)
(姿勢アライメント)
骨盤前傾位 腰椎過前弯
左乳様突起 左肩甲骨下角 左腸骨稜すべて上方変位
(理学的徒手検査)
体幹後屈動作で腰仙部に痛み
股関節負荷試験 陰性
仙腸関節負荷試験 陰性
腰椎負荷試験 陽性
下肢神経学的所見なし
この方は、4~5年前より腰痛が気になり始め、その都度マッサージ等に通われ、また
骨盤矯正なども受けていた方です。
腰が痛いと皆さんは、筋肉が痛みを出していると考えます。
そのためにマッサージやストレッチに通われるのだと思います。
しかし、人間の体は筋肉だけで出来ているのではありません。
直接的な筋肉の負傷(例えば打撲や筋断裂)を除いては、神経反射により2次的に筋肉が過緊張起こしているに過ぎません。
筋肉に過緊張を起こす神経反射を解除しない限り、腰痛は続くのです。
そして、腰痛を引き起こす神経反射を引き起こしている原因に対する施術が鍵となります。
本当の腰痛の原因は腰の関節?骨盤の関節?
少し体の事を勉強された方は、このように考えるかも知れません。
確かに、腰の関節に問題があるセグメントには、促通分節と言われる神経が過敏に反応する状態に陥って、脊髄神経後枝を通じて筋肉が過緊張を生じさせる場合があります。
骨盤の関節に制限が生じても、腰の骨に影響を与え、腰痛の原因になります。
しかし、残念ながら、人間の体は筋肉と骨だけで出来ているのではありません。
関節が原因であれば、関節の障害を作った原因があるはずです。
身体には筋肉や骨・関節以外、内臓・血管・中枢神経・末梢神経・リンパが存在しています。
これらが、1枚の膜で覆われているのが人体です。
この膜は、疎性または密性の不規則(場所によっては規則的)な結合組織であり、組織同士を相互に連結し器官を保護する役割があります。
皆さんが耳にする筋膜もこの膜の1つの形態です。
つまり筋膜も内臓の膜も続いているのです。内臓の膜が硬くなれば、腰の骨も引かれる事があると言う事です。
実際には人体を構成する全ての組織・器官が腰痛の原因になるのです。
このように、1つの症状から、本当の原因にたどり着くためには、解剖学をしっかりと理解していないといけません。
この考え方はオステオパシーの基本ですが、考えてみれば当たり前のことです。
身体を知らないに施術ができるはずがありません。残念ながら、多くのケースでその当たり前の事が出来ていないのです。
私もより深く解剖学を学んで行きます。
施術者の方々も、どうか解剖学を学んでください。
そこには新しい発見が詰まっています。
ではこの方の腰痛を本当の原因は何なのか?
それを知るために、オステオパシーによる全身評価を行っていきます。
(オステオパシー的評価)
左仙骨上方剪断
左卵巣制限
左大腰筋過緊張
オステオパシーでは全身を評価していきます。
体の左右の高さの差や骨盤の変位、主要な関節の制限、内臓の膜の硬さ、頭蓋骨の動き、中枢神経系の自動性など、それらの情報から今出ている症状を結び付けていきます。
頭蓋骨の病変等も当然生じていますが、初回は腰痛と直接結びついている部位をピックアップしていきます。
それが上記にあげた3つです。
女性は子宮、卵巣に制限がある方は多いです。
骨盤内蔵ですので、うっ血の原因になりやすく、静脈叢を通じて腰痛の原因にもなり、また生理不順や月経前症候群(PMS)の原因にもなります。
この方の月経前症候群(PMS)も左卵巣や子宮広間膜の制限が原因でしょう。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正及び鍼灸)
仙骨上方剪断 左卵巣 左大腰筋リリース。
胸腰筋膜リリース
腰方形筋リリース
臀部にリリース鍼
徒手による解放と鍼灸を組み合わせて施術を行いました。
術後、腰の後屈痛は解消。
腰痛の施術が終了したら、全身の調整を行いたいとの事でした。
腰部インナーマッスルの運動法を指導させていただき本日は終了です。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長