自律神経系・不定愁訴
頭痛や倦怠感、動悸により、自律神経失調症と診断を受けた患者さんが来院されました。
(患者)
30代 女性
(主訴)
常に頭が重い感じがあり、頭痛を感じる事もある。
身体がだるく、やる気が出ない。
電車などの人ごみで動悸がする事が多く、気分が悪くなる。
(既往歴)
10代より生理不順
26歳交通事故によるむちうち
花粉症
(現病歴)
特になし
(姿勢アライメント)
骨盤前傾位
腰椎過前弯
胸椎後弯減少
(理学的徒手検査)
頚部から腰部にかけての筋過緊張
上部胸椎から頚部にかけて伸展可動域減少
その他の所見は乏しい
自律神経の不調和により、不定愁訴を訴える方は非常に多く見受けられます。
自律神経は身体を緊張させる交感神経とリラックスさせる副交感神経により構成されています。
交感神経は(闘争―逃走)の神経であり、人間が外的・内的な脅威から身を守るための大切な神経です。
脅威が去った後には、身体をリラックスさせる副交感神経も活動を開始し、交感神経と副交感神経のバランスが保たれる事で、正常な生体活動が行えます。
過去に受けた内的・外的な脅威、この場合、肉体的・精神的トラウマ(トラウマとは心的な外傷だけを指すのではなく、肉体的な外傷もさします。)が上手に処理(治癒)されていないと、外的・内的な軽微な刺激によっても過度に自律神経が興奮し、症状を呈します。
過去の肉体的・精神的トラウマは、その時受けたショックのエネルギーが、人間が持っている自然治癒力に抑え込まれて存在しているのです。
自律神経失調症というと、現在受けているストレス自体が大きな原因と思われがちですが、そのストレスに適応できない状態が体内に残っているのです。
そうでなければ、同じ環境の人はもれなく自律神経失調症になるはずです。
(でも、私は過去に大きなトラウマなんか持っていないよ)このように思う人もいるでしょう。
先ほどもお伝えしましたが、そもそもトラウマとは外傷の事です。
これらのトラウマは受精の瞬間から生じています。
誰だって転倒などで怪我をしたことはありますし、感情的に不安になった事はあるはずです。
その時の痛みや気持ちが晴れれば、本人的には問題が去ったと思われがちですが、身体の中には処理しきれずに停滞している部分は数多く存在しています。
(過去に怪我したけど、今は痛くないけど?嫌な思いもあったけど、今は全然気にならないよ?)このように思う人が大半です。
完全に心身がそれらトラウマを処理してくれたものは治癒になりますが、処理しきれないものは、身体を守るために封じ込められているのです。
そして身体は新たなバランスを取るため、結果として症状は追いやられるのです。
もちろん、このバランスは正常なバランスではありません。
体のバランスに限局すれば、猫背や反り腰なども、新しいバランスの結果としての新たなる姿勢かもしれません。
身体を歪めてまでも、健康であろうとする命の一つの姿なのです。
ではこのような問題にどのようにアプローチして行けばよいのか?
オステオパシーによる評価と施術が鍵になります。
パート2へ続きます。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長