腕の痛み・痺れ
(患者)
40代 女性
(主訴)
右肩から肩甲骨の内側が痛く、右腕に痺れが出る。
1年ほど前より右肩から背中が異常に凝る感じがしていたが、
マッサージを行い緩和していた。
半年ほど前より肩と肩甲骨の内側が痛くなりはじめ、腕が重だるく、痺れたような感じが出るようになって来た。
(既往歴)
14歳の頃、尾骨打撲
30代に掌蹠膿疱症
(現病歴)
花粉症
(理学的徒手検査)
姿勢アライメントは上部頸椎過伸展し胸椎は若干の後弯増強、腰椎過前弯、骨盤前傾位。
第5胸椎を頂点とした左凸の側彎が目立つ。
右肩が前方に変位。
左足部が回内し、左下腿と大腿が共に内旋傾向。
ジャクソンテスト、スパーリングテストで背部痛誘発。上肢の症状の再現なし。
ライトテスト陽性。
(オステオパシー的評価)
手足の筋膜評価で右肩に制限あり。
右肩3rd内旋制限。
右第1肋骨制限。
右肩鎖骨関節制限。
内臓の評価で肝臓の右三角間膜に制限。
脊柱の評価で後頭環椎関節、第9胸椎に強い制限、骨盤部にも機能障害あり。
この方の姿勢はいわゆる(猫背)姿勢であり、頭が体の軸よりも前方に来るため、
筋力で頭を支えなくてはなりません。
そのため常に肩から首にかけての筋肉は、過剰に緊張しています。
また右肩が前内側に入り込んでいる事と、骨盤の変位や足の状態などから、菱形筋・前鋸筋・外腹斜筋・対側の腹斜筋の筋膜連鎖による過緊張も考えられます。
肝臓は頚椎の3,4,5(特にC4)から出る横隔神経と強い関連を持ちます。
これは肝臓が横隔膜に膜を介して付着している事に起因します。
そのため、肝臓経由での首の痛みが出るという事を示唆します。
また、柱・骨盤の制限は、そのまま姿勢の悪化に現れますし、側弯があれば交感神経への影響により、症状の慢性化や悪化に拍車をかけます。
整体・矯正に関しては、まず右肩の制限を解放し、
全体的な身体のバランスを取る下準備をします。
次に肝臓の制限を解放し、神経刺激を和らげ、最後に脊柱、骨盤の制限を解放し、身体が再度バランスを取れるようにします。
また、頚部から上肢の静脈の還流と動脈の供給を向上させることも必要となりそうです。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正)
右肩関節に対し、肩甲下筋腱を利用したリリース。
肝臓マニピュレーション。
後頭環椎関節、第9胸椎にマッスルエナジーテクニック。
骨盤部マッスルエナジーテクニック 。
尾骨リリース。
白線リリース。
肩鎖関節リリース。
鎖骨下筋リリース。
小胸筋リリース。
斜角筋リリース。
頚部、鎖骨下動静脈のテクニック。
肩の3rd内旋の制限があったため小円筋や棘下筋という筋肉の短縮も考えられ、
これら筋肉にもアプローチが必要かと思いましたが、関節の筋膜リリースのみで肩の制限はなくなりました。
内臓のマニュピレーションと脊柱のマニュピレーションが終わると
肩と背中の痛み、腕の痺れは緩和しておりましたが、
全体のバランスを考えるとお腹にある腹斜筋が付着する白線と、
首肩に影響を及ぼしている筋群も解放した方が、良好な経過をたどるであろうと考え、
そちらも施術致しました。
最後に、良好な姿勢の維持を促すための筋トレを指導させて頂き、
施術を終了と致しました。
でも、皆さん調子が良くなると皆さん筋トレしてくれないんですけどね。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長