Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

頚椎ヘルニア (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

坐骨神経痛・ヘルニア・狭窄症・胸郭出口症候群など

左腕の痺れで通院されている方が、病院での検査結果の画像をもって来院されました。

この方はヨガのインストラクターをしており、ヨガのポージング中に首に違和感が走り、その直後痺れが出始めたとの事。

初診時の検査で首の神経の出口での絞扼を調べるジャクソンテスト、スパーリングテストが陽性であり、二頭筋反射は消失、上腕の外側に知覚鈍麻がみられました。
また、首の前屈でも肩から上腕外側に痺れが出現していました。

肩や腕に痺れを生じる疾患は様々ですが、首の前屈で痺れが生じるものは単なる神経根症状ではない事と上記検査の結果から、C5・C6領域のヘルニアが疑われるため、病院で精査するように勧めていました。

そして病院での画像診断検査もC5・C6の頚椎ヘルニアでした。
医師からは、ペインクリニックを受診し、それでも治らなければ手術と伝えられたそうです。

(症状)
左肩から上腕外側の痺れ 痺れは特に三角筋部が強い

(理学的的徒手検査)
ジャクソンテスト、スパーリングテスト 陽性
モーレーテスト 陽性
二頭筋反射消失
知覚検査 C5領域 鈍麻

(オステオパシー的評価)
左仙腸関節制限
後頭環椎制限
C5制限
Th12制限
左胸膜及び堤靭帯制限

その他、斜角筋や胸鎖乳突筋、後頚部の筋の過緊張あり

施術(オステオパシーマニによる整体・矯正および鍼灸)
上記制限箇所リリース
横隔膜リリース
C5・C6椎間関節周囲刺鍼
筋過緊張部刺鍼
腕神経叢周囲刺鍼

(オステオパシーマニュピレーションによる整体及び矯正術後)
首前屈での痺れなし
首後屈での痺れあるものの、痺れが出現するまでの後屈可動範囲は拡大

堤靭帯は肺尖部覆う壁側胸膜に着く靭帯で、C5~Th1の頚椎椎体と横突起に付着します。
左仙腸関節には横隔膜の左脚の線維が伸びています。
左仙腸関節―横隔膜左脚―左胸膜―堤靭帯―頚椎による筋膜連鎖でヘルニアが発症したのかも知れません。
ヘルニアに至るまでに、長い時間を掛けた繰り返しのストレスが、筋膜連鎖を介しその部位に起こっていたのでしょう。

ただし、整体及び矯正でヘルニアが消える訳ではありません。
ヘルニアによって圧迫された周辺組織の静脈還流を改善させ、神経を圧迫している浮腫を改善させることにより、ヘルニアの症状が治まるのです。
ヘルニアによって生じた浮腫・うっ滞が軽減するまで、しばらく通院が必要です。

この方はヨガのインストラクターのため、ロッキングしている仙腸関節に過度の負担を掛け続けたのが本当の原因かもしれません。

ただ、仙腸関節にロッキングがあったとしても、すぐに痛み・痺れやその他の症状が出るとは限りません。
実際、仙腸関節を含めた骨盤が歪んでいない人はいません。
骨盤だけでなく、人間の関節や筋膜などには無数の制限があります。
無数の制限があっても、なんら症状が出ない人もたくさんいます。
まあ、本人が症状を気にしていない場合も多いのですが。

ではなぜ制限があっても症状がでないのか?

それは、人体にあるホメオスタシスメカニズムという身体を一定に保とうとする機能があるからです。
様々な体内の反射を使い制限を代償し、バランスをとっているのです。
繰り返しのストレスにより、いよいよバランスが保てなくなると代償不全の状態に陥り、症状・障害が生じる事になります。

代償不全に陥る前に、健康管理のために施術を受ける事も大切と言う事ですね。

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長