頭・首・肩・背中の痛み・障害
続きです。
(オステオパシー的評価)
右上肢筋膜外転検査で120°位から抵抗感
右肩鎖関節制限
右気管支制限
第2胸椎制限
まず肩鎖関節です。
肩鎖関節は鎖骨と肩甲骨の肩峰と呼ばれる所で構成される関節です。
一般に肩の動きというと、上腕骨骨頭と肩甲骨の関節窩で構成される肩甲上腕関節での動きをイメージしますが、肩の動きはその肩甲上腕関節のみではなく、鎖骨と胸骨をつなぐ胸鎖関節と鎖骨と肩甲骨をつなぐ肩鎖関節も重要です。
これらが肩の運動によってスムーズに動くことにより、
肩は痛み・制限なく運動が行えます。
肩の関節自体が正常でも、鎖骨の制限があれば可動域等に問題が生じるという事です。
また鎖骨は胸郭入口のすぐ近くにあります。
胸郭入口とは胸骨・第1肋骨・第1胸椎で構成された胸郭への入り口です。
胸郭入口は、上肢や頭部と交通する神経・血管・リンパ・神経や食道・気管など様々組織・器官が存在しており、とても重要な箇所です。
鎖骨の下には鎖骨下筋がありこれは胸郭入口の構成要素の1つである第1肋骨にも付着しています。
そして鎖骨下筋の中には横隔膜を支配する横隔神経の枝が入り込んでいます。
このため鎖骨下筋が過緊張を起こすと、鎖骨、第1肋骨、横隔膜を介して胸膜の制限を引き起こし、胸郭入口にも影響を与えることになります。
鎖骨下筋の過緊張は、肩鎖関節や胸鎖関節に制限があれば容易に生じます。
つまり肩鎖関節の制限は、肩の運動制限を生じさせると共に、胸郭入口に影響を与え、肩へ行く血管・神経にも影響を及ぼし、肩の痛みや運動制限を慢性化させる可能性があると言えます。
次に右気管支の制限
右の気管支の裏には迷走神経が走行します。
迷走神経は副交感神経であり、胸部・腹部の臓器を支配しています。
右気管支のテンション異常により迷走神経の働きが悪くなれば、胸部であれば肺・心臓などの膜・実質を含む機能異常を生じる可能性があります。
臓器の膜の制限は胸腔の膜の制限と関係するため、膜を介して肋骨の制限を生じ、肩の痛みや運動制限に関与するかもしれません。
そして第2胸椎の制限
第2胸椎の制限は、心臓、肺の機能に影響を与える可能性があります。 変位した胸椎に促通分節が生じ、体性内臓反射により臓器に影響を与えるからです
臓器の膜の影響は、先ほど述べたように肩の症状の原因になる可能性があります。
また、上肢を支配する交感神経も第2~第8胸髄レベルですので、第2胸椎の促通が肩の血管収縮を生じさせ、肩の症状を慢性化させているのかもしれません。
この方の場合は、右気管支の制限が根本原因であるように感じました。
右気管支の制限が膜を介して様々な組織にテンションを作り、制限が生じ、肩の筋、関節包にも影響しているという事です。
施術(オステオパシーによる整体・矯正)
右肩鎖関節リリース
第2胸椎リリース
小胸筋リリース
鎖骨下筋リリース
右気管支リリース
肩甲下筋、棘下筋、小円筋、関節包ストレッチ
術後
外転検査で抵抗なし。
2nd外旋は正常化。
3rd内旋若干の制限。
自動運動での最終可動域での自覚的な肩の重さなし。
自分で出来る筋肉のストレッチを指導させて頂き本日は終了しました。
後は、バレーボール後にどのようになっているかですね。
来週来院された際に聞いてみる事にしましょう。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長