腕の痛み・痺れ
以前腰痛で通院していた患者さんが左肩の痛みを訴え来院。
左の肘を曲げ、その肘を右手でサポートしていないと肩と腕が痛くてたまらないとの事。
(患者)
60代 女性
(主訴)
左肩から上腕部にかけての痛み
(既往歴)
30代 子宮内膜症
50代 右橈骨骨折
(現病歴)
高脂血症
(姿勢アライメント)
痛みが強いため検査せず
(理学的徒手検査)
痛みのため全可動域低下。
肘をサポートし肩に掛かる自重を軽減させると可動域は拡大。
肩峰下に圧痛著明
熱感・腫脹なし
神経症状なし
軸圧痛等の骨折を疑う所見なし
その他テストは痛みのため実施出来ない
この患者さんは、2年ほど前に腰痛と坐骨神経痛で通院されていた方です。
その後、症状の再発は無く生活されていましたが、1週間ほど前に、肩の周囲や背中が張る感じを覚え、自分で肩回りのマッサージを繰り返し行いましたが、2日前に痛みに変わり始め、持っていた消炎鎮痛剤を服用。
服用すると痛みは軽減しましたが、昨晩は痛みで眠れなくなりました。
そこで再度来院を決めたとの事でした。
自覚的には肩よりも腕の痛みが強く、肘をサポートしている右手をどかすと激痛が走り、その都度身悶えします。
その痛がる様子に、どこか骨折してるのか?と思い、鎖骨、肋骨、腕と調べましたがその様子はありません。
また、痛みのため肩周囲の検査がほぼ出来ません。
この場合、肩や腕に何が起こっているかを限られた情報から予測するしかありません。
肘をサポートすると痛みが軽減するのは、肩関節の内圧か腱・靱帯の伸長に起因。
肩甲骨と上腕骨の間(肩峰下)を押すと、非常に痛がるのは、肩峰下滑液包の炎症。
消炎鎮痛剤が効くので炎症性の痛みである。
問診、検査より骨折の疑いはなし。
首の検査及び自覚症状より神経の問題はなし。
自覚している腕の筋肉を検査しても異常なし。
夜間痛が酷いのも炎症性疾患の特徴。
これらの情報より、肩の筋肉の広範囲の付着である腱板部の炎症、肩峰下滑液包炎、 急に発症した激烈な痛みですので、腱板や肩峰下滑液包の石灰沈着も予測されます。
恐らく、腕の痛みは肩からの放散痛でしょう。
では何が肩に炎症を起こさせたのか?
それを知るためにオステオパシーによる検査をしていきます。
(オステオパシー的評価)
頭蓋傾聴にて、左手根部・心臓から左胸部にかけてテンションあり。
その他、骨盤の制限等もありますが、現在出ている症状に直結している問題は恐らく上記です。
その中でも特に左手根部です。
これは肩からの筋膜の引かれ具合で解ります。
手根部には8個の骨が並びます。
その8個の関節はそれぞれ関節を作っています。
その配置が狂うと筋膜を引っ張る力となり、遠位に影響を与えます。
この場合は左肩です。
そんなに弱い力が関係するのかと思うかもしれません。
もちろん本当に弱い力なので直ぐには問題を生じません。
ただその弱いテンションをかけられたまま何年も指を動かし、肘を動かし、肩を動かし続けたらどうでしょうか?
パート2に続きます。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長