坐骨神経痛・ヘルニア・狭窄症・胸郭出口症候群など
本日は足の痺れと痛みを伴う腰痛の患者さんです。
(患者)
30代 女性
(主訴)
腰痛 左足の痺れと痛み
長時間の同一姿勢で症状が憎悪
(既往歴)
20代 腎盂腎炎
(現病歴)
花粉症
(姿勢アライメント)
骨盤前傾位
腰椎過前弯
(理学的徒手検査)
体幹後屈時下位腰椎を中心に鈍痛
SLR45度で足の痛みと痺れが再現
Kボンネット陰性
知覚検査陰性
筋力テスト陰性
腱反射正常
股関節負荷試験陰性
仙腸関節負荷試験陰性
腰椎負荷試験陽性
この方は腰痛に足の痺れや痛みが併発し、坐骨神経痛様の症状を呈しています。
このような症状で疑われる代表的な疾患は、神経根症、腰部椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、脊柱管狭窄症などです。
また、股関節、骨盤の関節である仙腸関節の問題でも足に症状を呈することがあります。
ですので、鑑別のため様々な徒手検査を行います。
ロアン鍼灸整骨院で行われているオステオパシーは病名によって施術方法が が決まるわけではありませんが、その症状の局所の問題を把握するために、理学的徒手検査をまず行っています。
SLRテストという、坐骨神経を伸長させるテストが陽性ですのでヘルニアの疑いが残りますが、腱反射や知覚の異常はありません。
梨状筋という坐骨神経が通過する筋肉の過緊張でも主に大腿後面の痛みを生じさせますが、このテストは陰性。
脊柱管狭窄症に関しては神経の圧迫ではなく、神経の阻血ですのでこれらの検査では不明ですが、年齢や間欠性跛行(歩いていると足の痛みが憎悪し、少し休むとまた歩けるようになる)が無い事などにより除外。
このように、徒手検査を行っても、教科書通りに当てはまる人はなかなかいません。
逆に教科書通りに当てはまる人は、病態がかなり進んでいる人です。
このような神経に対する理学的徒手検査で陽性と陰性が混在している場合は、神経以外にも目を向けることが大切になって来ます。
ただ、施術者の中には、一度自分がこうだと思った疾患名から抜け出せず、無理やりその疾患に患者さんを合わせようとする人がいます(この場合ですと、SLRテストが陽性だから、ヘルニアに違いないと思い込むこと)。
そして自分が知っているヘルニアに対する施術を行うのです。
批判的な事を書きましたが、実はこれ、昔の自分です。
人の身体を広く見る知識と技術が無かったのです。
この方の場合、骨盤が前に倒れ、それに伴い腰の骨が過度に反っている。
そのため神経の出口に負担が掛かり、神経が圧迫されて腰痛と共に足の痺れと痛みが生じている。
大抵はこのように考えて骨盤の前傾を是正し、腰部の緊張を緩和させるような施術を行って行くでしょう。
実は正しそうに思えるこの考え方も、昔の自分です。
骨と筋肉の事しか考えていないのです。
人間の身体は骨と筋肉以外にも様々な組織、器官が存在しており、それらが相互に関係しあっている事が抜けているのです。
身体全体の繋がりを評価し、本当の原因にアプローチしていくのがオステオパシーなのです。
次回は、この方の腰痛と足の痺れと痛みに対する、オステオパシーによる全身評価と施術です。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長