腰・骨盤・股関節の痛み・障害
前回の続きです。
前回のブログでは、腰痛及び股関節痛に悩む29歳女性に対する一般的な徒手検査の結果 と考察を書きました。
一般的徒手検査によって得られた情報を加味し、さらに症状に対する本当の原因に迫るためにオステオパシーによる全身評価を行って行きます。
(オステオパシー的評価)
仙骨病変
腸骨病変
尾骨制限
右寛骨臼適合不良
コアリンク圧縮
SBS圧縮
後頭骨病変
右側頭骨病変
心膜、心臓弁
コアリンクとは頭蓋骨の中と仙骨・尾骨をつなぐ脊柱内の硬膜系を言います。
コアリンクが圧縮を起こしているため、脊柱全体の可動域が低下しています。
硬膜の緊張により、背骨が全体的に圧迫されているのです。
仙骨や腸骨の骨盤部の病変は日常生活での体の使い方などでも生じます。
骨盤の変位はない人はいません。
ただ、コアリンクの問題でその制限が強固になっています。
骨盤は中央の仙骨と左右の寛骨により構成されています。
そして寛骨は腸骨・恥骨・坐骨の三つの骨が合わさり出来ています。
この三つの骨が合わさるところが、股関節の受け皿の部分である寛骨臼にあります。
寛骨臼は関節の受け皿ですので歪んでいてはいけません。
また大腿骨と寛骨をつなぐ大腿骨頭靱帯には閉鎖動脈の枝である大腿骨頭動脈があり、大腿骨頭を栄養しています。
大腿骨頭の多くは回旋動脈が栄養しますが、この小さく細い骨頭の動脈である大腿骨頭動脈の血流が寛骨臼のゆがみにより低下すると、股関節の障害につながることが多々あります。 この方の股関節痛は骨盤のゆがみと寛骨臼のゆがみにより、関節の適合性が悪くなっており、大腿骨頭動脈の血流不全がよりその状態を悪化させているのでしょう。
この方の寛骨の適合不全は、尾骨に付着する靱帯からの牽引によるものでした。
SBSとは頭蓋骨の後頭骨と蝶形骨で構成される軟骨性の結合部分です。
ここは頭蓋骨の動きの中心部です。
頭や顔面部分には23個の骨がありこれらは一定の動きをします。
その動きの中心となる部分です。
頭蓋の縫合は強固なため動かないと昔はいわれていましたが(残念ながら今もおっしゃる方がいらっしゃいます。しかも医学教育を受けた方で)、現在は様々な研究により14ミクロン程の動きが確認されています。
この僅かな動きは、人間を健康に導く大切な動きなのです。
それは脳脊髄液の還流に関係し、脳脊髄液のポテンシーは細胞の一つ一つに波及します。
この方は、SBSや側頭骨の可動が低下していました。
それは頭蓋硬膜の過剰な緊張によるものです。
心膜や心臓弁の制限は、身体全体に影響を与えます。
人体は大小様々な血管が存在しており、その長さは10万キロメートル。
これは地球約2周半の長さです。
これらの血管の中心が心臓です。
心臓の影響は体の血管網に影響します。
特に心臓の卵円孔弁(ここは弁ではないが、弁様の動きをする)の病変は心臓を中心に血管を巻き込むようなテンションを生じさせます。
イメージとしては柔らかい布に指を巻き付けひねると周囲の布が渦のように集まる感じです。
そしてこの方のコアリンクの異常なテンションの中心は、おそらく心臓にあります。
心臓を中心にコアリンクに異常なテンションが生じ、脊柱、寛骨臼、骨盤のゆがみを助長させ、腰痛と股関節痛を発症したと考えられます。
では心臓の病変はどこから来るのか?
これは、環境の問題が大きいと言えるでしょう。
大気中の化学物質、食品添加物、電磁波、精神的ストレスなどがあげられるでしょう。
次回はいよいよ施術です。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長