その他の痛み・障害
左腕の痺れ、背中の痛み、に悩む方が来院されました。
(患者)
40代 女性
(主訴)
左の肩甲骨の内側が痛く、左腕に痛みと軽い痺れ感がある。
(既往歴)
20代 左側胸部脂肪腫切除
(現病歴)
特になし
(姿勢アライメント)
胸椎後弯減少
頚部前弯減少
(理学的徒手検査)
ジャクソン、スパーリングテスト陰性
アドソン、エデン、ライトテスト陰性
モーリーテスト陽性
筋力テスト陰性
肩関節及び周囲関節の可動域は正常
3週間ほど前に自宅で照明の付け替えをしている際、上を向いたまま腕を挙げて作業していた時に背中の痛みが生じたとの事。
以前にも同様の痛みを経験したことがあり、その際は整形外科を受診し、痛み止めを処方され1週間ほどで痛みが治まったようです。
今回も整形外科を受診し痛み止めを処方して頂きましたが、3週間経っても症状が治らないためロアン鍼灸整骨院を受診されました。
背中や腕の痛みや痺れは頚椎から出てくる神経の影響で生じることがありますので、その検査を行いましたが、結果は陰性。
肩の関節や筋肉の問題もなさそうです。
ただ、斜角筋という首から肋骨に付着する筋肉は緊張しており、押すと腕が重だるくなるという所見のみが存在しています。
腕の痛みや痺れは斜角筋の影響を受けているようですが、これだけでは施術ができません。
また、背中を丸めると背中の鋭い痛みが出現し、ギックリ腰ならぬギックリ背中のようです。
背中を丸めて痛みが出るとなると、背骨の周囲の筋肉や肋骨の間の筋肉、肩甲骨を固定している筋肉が原因と考えがちです。
ただ、純粋な筋肉疲労や筋肉に対する直接的な外力以外、筋肉の痛みの多くは2次的なものです。
体の深い所に問題が生じ、その反射で筋肉が固くなり痛みを生じさせる事が圧倒的に多いのです。
なぜこれらの筋肉に問題を生じさせているのか?
ここが解らないと施術は行えないですし、症状も治まりません。
これをオステオパシーによる全身評価で探って行きたいと思います。
(オステオパシー的評価)
左第1肋骨上方及び前方変位
左第2肋骨~第5肋骨前方変位
心臓支持靱帯に制限
オステオパシーでは全身の膜の繋がりを利用して全身を調べて行きます。
頭に手を置き頭の中の硬膜にアクセスすると膜の繋がりから全身の状態が解ります。
例えば、右腕は指に引かれ、左腕は胸に引かれ、心臓は横隔膜に引かれそこから骨盤に引かれているなどと感じる事が出来ます(勿論日々の訓練と解剖学の詳細な知識が必要となりますが)。
これをオステオパシーでは傾聴と呼んでいます。まさに全身の膜を介して身体の声を聴くのです。
そして傾聴で判明した制限に対して、実際に可動性などを確認し本当に病変かどうかを調べます。
多くの人と同じように、この方の場合も上記以外にも沢山の制限が確認されましたが、直接今回の症状に繋がっているのは上記3点でした。
その他の制限に対する施術はより良い健康を得るために必要ですが、時間もお金も掛かる事なので今回は症状に絞って施術を行います。
車の修理で例えれば、走れる状態にしたいのか、完全にレストアしたいのかの差ですね。
この方の場合、心臓周囲の靭帯にそもそも強い制限があり、肋骨を前方に引いていたと考えられます。
柔軟性を欠いた肋骨は、今回の自宅での作業により、関節面に負担がかかり関節の前面の神経を刺激し痛みを生じさせると同時に、筋肉の過度な緊張をもたらしているのでしょう。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正)
心臓に対するアプローチ後、肋骨に対する施術を行いました。
術後、背中に軽い違和感があるものの、体を丸めてもギクッとした背中の痛みはなくなり、腕の痺れと痛みもかなり軽減しました。
後は1週間ほどかけてその人の身体が勝手に治療してくれます。
1週間後に予約を入れてもらい今回は終了です。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長