腰・骨盤・股関節の痛み・障害
(患者)
29歳 女性
(主訴)
腰痛及び右股関節痛。
以前より慢性的に腰の重だるさを感じていたが、2週間程前より股関節の痛みと腰痛が酷くなり、整形外科を受診。
レントゲン上異常なしとの事で、リハビリを勧められ通院していたがあまり変化はなく、友人の紹介により来院。
(既往歴)
25歳 胃潰瘍
(現病歴)
アレルギー性鼻炎
(姿勢アライメント)
骨盤前傾位
腰部過前弯
(理学的徒手検査)
体幹前屈時の可動域減少、及び中部~腰仙移行部を中心に疼痛
体幹後屈時に腰仙部を中心に疼痛
腰部疼痛誘発テスト陽性
立位股関節負荷試験擬陽性
仙腸関節疼痛誘発テスト陰性
パトリックテスト骨盤固定位及び解放位共に陽性
ゲンスレンテスト骨盤固定位及び解放位共に陽性
Kボンネットテスト陰性
その他、神経学的検査は陰性
まずは一般的な理学的な徒手検査で痛む部位を調べて行きます。
腰部はもちろんですが、骨盤の関節である仙腸関節や股関節は腰痛として認識される場合が多くあり、鑑別が必要です。
この方の場合は、腰部の動きと脊柱への圧迫テストで、普段感じている痛みの誘発があり、また股関節のテストで、股関節と腰部に疼痛の誘発がありました。
一般的な考え方としては、次のようになるでしょう。
腰部アライメントと筋肉の過緊張を考慮すると、 骨盤が前に倒れる骨盤前傾位のため腰椎が反り、そのライメント不良を代償するため、腰の筋肉である起立筋群と臀部の筋群に過度な緊張がかかり、特に前かがみ姿勢で緊張した筋肉が伸ばされるため痛みを生じる。
また、腰痛が過度に前弯しているため腰を後ろに反らした際には、腰の関節である椎間関節が圧迫されて、痛みを生じる。
骨盤前傾位で大腿骨頭と骨盤側の関節窩の適合が悪くなり、関節包などに負担がかかり股関節の痛みを生じる。
ですので、この反り腰のアライメントを是正する事が腰痛・股関節痛の緩和につながる。
施術としては、腰部、股関節周囲の筋肉の過緊張をマッサージやストレッチで軽減させ、腹部インナーマッスルを強化することにより腰椎の安定化を図り、腰痛、股関節痛の軽減を目指す。
痛みが減少してきたら、さらなるアライメント是正のため、表層の腹直筋を鍛えることも必要かも知れません。
痛い部位に何の検査もする事なく、いきなりマッサージを始めるなど論外ですが、上記のような身体の診方も悪くはいけど良くもありません。
50点というところでしょうか。
一見、解剖学や運動学を踏まえ、理にかなったように感じる上記のような身体の見方や施術には、大切な事が欠けているのです。
大切な事とは何か?
それは本当の原因を見つけることです。
なぜ骨盤は前傾位にならなくてはいけなかったのか?
なぜ腰椎は過度に反らねばいけなかったのか?
それは筋肉が緊張して引っ張っているからとか、逆に筋力が落ちているから答える施術者も多くいるでしょう。
本当にそうだとしたら、なぜ筋肉が過度に緊張しなければならなかったのか、筋力が過度に落ちなければならなかったのか?
ここまで考えて、本当の原因がどこにあるのかを検査することが大切と私は考えています。 そのために必要な哲学を含めた考え方、身体の診方、検査の方法、触診の感度、テクニック等は全てオステオパシーに存在しています。
次回はこの方の腰痛、股関節痛に対しロアン鍼灸整骨院で行っているオステオパシーでは、どのように評価していくかを書いて行きたいと思います。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長