坐骨神経痛・ヘルニア・狭窄症・胸郭出口症候群など
1か月ほど前より、首・肩・背中の痛みと共に右の腕に痛みと痺れが出現し、
病院で検査を受け 頸椎の5・6・7番に問題があると言われた方です。
(患者)
40代 女性
(主訴)
右腕の痺れと痛み
右の人差し指が痺れた感じがする
首・右肩・右背中の痛み
(既往歴)
小児喘息
左小指骨折 (13歳)
(現病歴) なし
(姿勢アライメント)
骨盤前傾位
腰椎過伸展
ストレートネック
頚椎上部過伸展
頭部前方変位
左右肩部前方変位
(理学的徒手検査)
ジャクソン・スパークリングテストともに右陽性
モーレーテスト右陽性
ライトテスト右陽性
知覚検査は正常
腱反射は正常
来院時、楽な姿勢はなく、夜も眠れないとの事でした。
ただ、一般的な頚椎症性の神経根症状では手を頭の上に置く等、
腕神経叢を緩める肢位をとると症状は軽減することが多いのですが、
この方は違いました。
痛みが軽くなる肢位がない場合、炎症反応が強く、
また交感神経の過剰な興奮が予想されます。
腕の痛みを伴い楽な姿勢がなく夜間痛を伴う場合には、
パンコースト腫瘍などの癌の疑いも生じますので病院で精査していただきますが、
この方の場合は、先に病院でMRI等の検査を受けていたのでこのまま施術していきます。
ただ、念のため、リンパ節の腫脹がないかだけは調べました。
この方のアライメントは肩甲骨が外に流れ、
肩は前方に突出し極度の猫背タイプでした。
これは痛みに対する防御姿勢も加わっていますが、
恐らくは以前からの生活習慣によるものでしょう。
この姿勢では、頚椎はストレートになりやすく、
頭からの荷重が頚椎にダイレクトに作用するため、
首の骨に過剰な力が加わり、脊髄神経の首からの出口に問題を起こします。
そして神経を刺激される事により、肩や背中・腕に痛みを放散させます。
自分で書いていてなんですが、
このストレートネックだから神経の痛みが出現したという説明は、
とても不十分です。
なぜならストレートネックで猫背の人は世の中に大勢いますが、大多数の人は腕の痛みや痺れなどの神経根症状は訴えません。
ではなぜ書いたかと言いますと、これがこの所見からの一般的な説明だからです。そしてこの説明のもとに、首の骨や背骨、筋肉にアプローチを行うでしょう。
確かに人間の構造が筋肉と骨と神経だけで構成されているのならば、
バイオメカニクス的にはこの説明しかないでしょう。
しかしながら、私たちの体はその中に
内臓を持ち、
血管を持ち、
リンパを持ち、
そして、それらすべて膜で繋がっています。
つまり1番表面の皮膚から一番深部の骨までは
膜(fascia)を介して繋がっています。
1枚の大きなシート(膜)が折れ曲がり、方向を変え、
支持組織を介し深層へと繋がっていきます。
膜のつながりを介して、意外な所が頚椎に影響を及ぼしている事も多々あるのです。
1つ明確に言える事は、症状のある部分に本当の原因は存在しません。
ストレートネックが肩の痛み、
背中の痛み、腕の痛みや痺れの本当の原因でないとすれば、
一体何が本当の原因なのでしょう?
本当の原因の追究には、
更に深い解剖・生理学の知識と
全身の検査・評価の方法を知らなくてはなりません。
そして、
本当の原因を見つけ施術を行うのがオステオパシーなのです。
オステオパシーによる全身評価と施術はその2へ続きます。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長