坐骨神経痛・ヘルニア・狭窄症・胸郭出口症候群など
(患者) 30代 女性
(主訴)
腰部から太腿の外側、膝の痛み
2か月程前に左膝の違和感が生じ、椅子からの立ち上がり動作で痛みを感じるようになった。
その頃より、腰の痛みと左太ももの外側が痛み始めた。
起床時痛が酷く、長時間の立位、歩行で腰部に鈍痛を生じる。
(既往歴)
小学生の頃に左小指骨折
帝王切開
(現病歴)
子宮筋腫
(理学的徒手検査)
まずはベーシックな理学的的徒手検査を行いました。
膝深屈曲で違和感・痛みなし
膝熱感・腫脹なし
マックマレーテストやアプレーテストなどの検査は全て陰性
外側裂隙部に若干圧痛あり
検査結果より、膝自体に明確な障害は見受けられませんでした。
ただし、太腿の外側にある腸脛靭帯という靭帯が過緊張を起こしており、右に比べ著明な圧痛がありました。
体幹後屈で腰部痛の再現あり
大腿伸展テスト陰性
腰椎不安定性なし
腰部の検査では、大腿外側の痛みと結びつくような神経学的所見がみられませんでした。
後屈時痛があるため、腰の関節である椎間関節性の腰痛はあるようです。
ただし、これらの検査のみでは、腰痛、大腿外側部痛、膝痛の原因が分かりません。
上記の理学的的徒手検査は、整形外科や少し気の利いた接骨院・整骨院では一般的に行われている検査です。
ただし、これらの検査が陰性だと、原因がわからないまま施術を行う事になります。
原因が分からないため、(ここの筋肉が硬いのが原因です)と、無理やり症状の原因を自分の中でつくり患者さんに説明し、小首を傾げながら理学療法や鍼灸、マッサージをするという、まったく意味のない施術になってしまいます。
私もオステオパシーを始める前は、このジレンマによく陥っていました。
人間の身体は複雑なので、痛みの原因も様々です。
少し考えればわかる事なのですが、様々な原因を、数えられる程度の検査で全てを補える訳がありません。
なぜそのことに気付けなかったのか。
病院やクリニックなどの日本の医療で行われている正しい検査法を行えば、原因が全てわかると信じていたからです。
確かに徒手検査は医学的には正しい検査ですが、アメリカやヨーロッパの医学に目を向けると、様々な検査・評価の仕方があるという事に気付かされます。
日本の学校教育・臨床の現場で行われているのは、その一部分でしかないのです。
つまり、日本で行われている一般的に西洋医学と言われる医療は、その医学の全てが西洋から日本に入って来ている訳ではないという事です。実は、日本は医学のある側面だけを輸入したのです。
日本の医学は進んでいると信じていた私は、目から鱗が落ちる思いでした。
症状があるからには必ず原因があります。
徒手検査や画像検査が陰性だから異常がないのではなく、実際は、その検査法では異常が検知出来なかっただけなのです。
その2へ続きます。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長