Acupuncture & Moxibustion / Bone setting

院長ブログ

腰部から足にかけての痛み (本日のロアン鍼灸整骨院の施術から)

坐骨神経痛・ヘルニア・狭窄症・胸郭出口症候群など

(患者)  
22歳 女性

(主訴) 
腰から右のお尻、右太腿の後面にかけて痛み

(既往歴)
中学生の頃に左足首捻挫

(現病歴)
花粉症

この方は、久しぶりにジムでトレーニングを長時間行ったところ、右おしりに違和感が生じ、翌日から腰痛・右臀部痛・右大腿後面部痛が酷くなったとの事でした。

以前より時々今回のような痛みを経験しており、過去に整形外科を受診した際にはレントゲン上は特に異常が見つからず、若干脊柱の彎曲が減少していると言われたそうです。

(理学的徒手検査) 
前屈動作で痛みが顕著に出現
体幹左側屈制限
SLR陽性 エンハンス陽性
Kボンネット疑陽性

(オステオパシー的評価)
股関節内旋に制限
大腰筋・梨状筋の圧痛
腰椎1番から4番にかけて左凸の側彎
第12胸椎の機能障害
腰椎5番の機能障害
骨盤部 仙骨のLonL捻転病変 左腸骨後方回旋
左足関節 距骨前方変位

この方の症状は、一見すると坐骨神経痛のようですが厳密には違います。
坐骨神経痛は腰部での神経の出口に問題が生じて、神経根を圧迫し、その痛みは大腿後面から膝下・足部にまで達します。
この方の場合、大腿後面で症状が止まっています。
検査結果から考えられるのは、お尻にある梨状筋という筋肉での総腓骨神経・脛骨神経の圧迫です。
ただし、単純にその筋肉マッサージなどで緩めれば治るというものではなく、繰り返しこの症状が出現している事を考えると、梨状筋がスパズムを起こしやすい状態にこの方の身体が陥っていると考えられます。

検査結果から、ご本人は左足首の症状は訴えてないものの、以前捻挫した左足首には可動制限があります。
この制限が長い時間をかけて骨盤・腰椎のゆがみを引き起こし、骨盤・腰椎の周囲筋、特に梨状筋や大腰筋に過緊張を呈しやすい状態を作っていると考えられます。
左足首の制限を解放し、骨盤・腰椎の制限も解放しなければ、筋肉だけを緩めてもすぐに元の状態に戻ってしまうでしょう。

(施術 オステオパシーによる整体・矯正)
左足関節(距腿関節部) 関節マニピュレーションにて是正
梨状筋・大腰筋 SCS(カウンターストレイン)にて筋過緊張を是正
骨盤・腰椎 MET(マッスルエナジーテクニック)にて是正

オステオパシーによる整体及び矯正の後、体幹左側屈制限は是正され、前屈時の痛みも軽減しました。
神経の炎症が残っているため、まだ多少症状はありますが、2~3日後にはより落ち着いてくるでしょう。

過去のケガなどが現在の症状に関係する事は、意外に多いものです。これは発生学における中胚葉由来の組織に起因しています。
人間が体のどこかに損傷を負うと、組織の修復の過程で、組織に炎症が起き、その後に組織の線維化、そして瘢痕化が必ず生じます。
もちろんこの反応は肺炎や手術などの身体の内部に生じた炎症も含まれます。
この経過は中胚葉由来の組織(真皮や筋肉・骨や内臓を覆う膜など)にしか起きない反応なのです。
身体が発育していく幼児期から成長期が終わるまでに受けたケガなどは、身体が成長するにつれて、瘢痕化した組織が周囲の組織を引っ張り、筋膜連鎖で遠く離れた場所に制限をつくり症状を出現させます。

しかし、必ずこの過去のケガや炎症が今の症状を作り出している訳ではなく、大抵の人はその柔軟性においてバランスをとり代償しています。

ただ、同じ症状を何度も繰り返したり、症状のある所に施術してもなかなか改善しない場合には、このような事が原因になっている事もあります。

あなたのその首の痛みは、昔の突き指が原因かも知れません。なんてね。

東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長