腰・骨盤・股関節の痛み・障害
腰痛に悩む40代男性が来院されました。
整骨院や整体院でマッサージなどを受け続けている方です。
(患者)
40代 男性
(主訴)
腰と右股関節周囲の痛み
(既往歴)
10代 右腓骨骨折
(現病歴)
特になし
(姿勢アライメント)
骨盤後傾位
腰椎前弯減少
(理学的徒手検査)
体前屈動作で腰痛が誘発
股関節・脊柱・仙腸関節ストレステスト陰性
神経学的検査陰性
この方は2年ほど前より腰痛が気になりだし、今では腰が常に重だるい感じがあるとの事。
デスクワークなので、長時間の座位で腰痛が酷くなるようです。
近くの整骨院や整体院に定期的に通っており、その時は楽になるが次の日には元に戻ってしまうため、今後が不安になり来院されました。
整骨院や整体院に通われており、そこの施術者から説明を受けた、自分の腰痛に対する原因を色々話してくれます。
仙腸関節がおかしい、臀部の筋肉が固い、腸腰筋が固い、などなど。
患者さんはどんな施術者でも一応プロと思っていますので、その施術者が言った事が正しいと思う事が往々にしてあります。
勿論それは仕方ないことです。
残念なのは施術者が、筋肉と関節の知識しか持ち合わせていない事です。
原因が筋肉や関節と判断したなら、当然そこに対する施術を行っているはずです。
しかも同じ施術を来院の度に繰り返し行います。
しかし一向に改善しないのは何故でしょう?
施術の技術が悪く筋肉や関節が緩んでいないせいかもしれません。
この患者さんもそのように感じ、来院されたようです。
(仙腸関節を上手に緩めて、腸腰筋と臀部の筋肉を柔らかくしてくれれば私の腰痛は治る!)と。
しかしながら、身体は筋肉と骨からできているわけではありません。
身体の動きは、内臓・血管・神経・筋肉・骨がそのように動くことによって初めて可能となります。
身体を前に倒すときは、適切に調節された筋力により、関節は前方に傾き、お胸や腹の中で内臓が滑り、神経・血管も滑り、筋膜もそのように滑る。
身体の全てが協調動作をしてはじめて可能になるのです。
そして、協調動作が出来ていない身体はストレスがかかり症状を出現させるのです。
では、この方の協調運動を崩しているどこなのか?
オステオパシーによる全身評価で明らかとなります。
(オステオパシー的評価)
肝臓(右三角間膜)制限
右腎臓制限
横隔膜脚制限
右腸腰筋制限
仙腸関節右制限
この方のおっしゃる通り、右仙腸関節と腸腰筋には制限がありました。
そしてこの制限を作っているのが、肝臓の三角間膜、右腎臓、横隔膜脚です。
横隔膜の右脚は第3腰椎付近に付着します。
そしてその繊維は尾骨まで伸びていきます。
この繊維により仙腸関節の制限が生じています。
そして肝臓と腎臓の膜が固く滑りがスムーズではありません。
この結果、からだの協調運動が取れず、腰部の関節や筋肉に無理なストレスが加わり腰痛を発症したのでしょう。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正)
横隔膜・肝臓三角間膜・右腎臓のリリース後、呼吸動作にてそれらが正常な滑りが回復したのを確認し、(起きて身体を前に倒してみてください。)と伝えたところ、ご本人は腰と骨盤を触っていないのでなんだか少し不満そうでした。
でも、スムーズに痛み無く前かがみが出来ることに大変驚き、帰りに(今日は不思議な体験をさせてもらった)と喜んでいらっしゃいました。
身体の全ての症状は単なる結果であって、原因が症状の場所にある事は稀なんです
中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長