その他の痛み・障害
腰痛とPMS(月経前症候群)に悩む30代女性の患者さんの続きです。
今回はオステオパシーではどの様に身体を診て施術して行くかについてです。
(オステオパシー的評価)
SBS(蝶形後頭底結合圧縮)
右側頭骨圧縮
脳幹及び大脳辺縁系のバランス不良
頚椎制限(OA・AA・C2)
骨盤制限
虫垂間膜制限
盲腸制限(外側ヒダ)
右卵巣制限
右股関節制限
この患者さんは頭蓋骨の縫合に大きな問題があり、特に蝶形骨と後頭骨の軟骨性の結合であるSBSと右の側頭骨が内側に圧縮を受け、頭蓋骨の自然な動きが制限されていました。
この動きは1次呼吸と言われるもので、脳脊髄液の循環に関わってきます。
脳脊髄液の循環が悪いと、細胞内液・外液の循環も悪くなります。
つまり細胞内外での物質のやり取り全体が停滞していく可能性があります。
この1次呼吸のリズムにより健康が維持されていると言えるでしょう。
頭蓋骨の圧縮を受け、その中にある中枢神経系のリズムも悪く、また、過去の様々内外のストレスのため、視床下部・下垂体の制限を感じます。
また視床下部はホルモンを刺激するための重要な中枢でもあります。
そして自律神経の最高中枢になっています。
上部頚椎の制限は、副交感神経の働きを制限します。
迷走神経は脳幹の迷走神経の核から始まり、頚静脈孔から頭蓋の外へ出ます。
その際、頚静脈孔のそばにある環椎後頭関節に制限が生じていると、スムーズな神経伝達を傷害します。
迷走神経は副交感神経ですので、内臓に様々な問題を生じさせます。
骨盤の問題は骨盤内蔵(膀胱や子宮など)のうっ血に繋がります。
実際、静脈はほんのわずかな圧で停滞を起こし、阻血状態になる事が解っています。
僅かなうっ血はアシドーシスを生じさせ、痛みの原因にもなります。
この方の右卵巣の制限は虫垂間膜の制限に関連したものかも知れません。
骨盤のねじれにより子宮広間膜にテンションが掛かり、さらに虫垂間膜のテンションが掛かる事により、右卵巣の制限が生じているようです。
因みに虫垂間膜は化学物質(食品や大気中の)などで硬くなります。
右股関節の制限は盲腸の制限に由来しているようです。
以上より、頭蓋・中枢神経系を整え、ホルモン中枢である視床下部を正常化させ、頚椎、骨盤、右卵巣にアプローチすることにより、神経伝達のサポートと骨盤内蔵のうっ血を除去し、盲腸、股関節へのアプローチは下肢・骨盤・脊柱へのバランスに関与していくと推測されます。
(施術 オステオパシーによる整体・矯正)
上記に対し施術。
ただし、初診時は頭蓋及び頚部のみ。
身体に問題となる部分が多い時は、分けて施術を行います。
一度にたくさんの部位を施術すると、視床でその情報をカットして、いらない刺激になってしまうのです。
分けて施術する際、そのファーストチョイスは非常に重要です。
簡単に言うと、身体が最も求めている所から行います。
そのため、身体の声を聴く事が大切になります。
自我を無くし、自分の解剖学や生理学の知識、その関連に関する知識を一旦脇に置いておくのです。
実はこれ、非常に難しいんです。
知識が増えれば増えるほど難しい。
このように身体を診ていくと、健康に対する主役はつくづく患者さん自身だと感じます。
私たち施術者はその身体に健康が正常に見出されるように、そっと後押ししているだけなんです。
この方の健康が見出され、健康が病を身体から押し出せるようサポートさせていただきます。
東京・中野の整体・整骨と鍼灸 ロアン鍼灸整骨院 院長